<全国高校総体>◇2日◇サッカー◇奈良・橿原運動公園グラウンド

 7年ぶり14回目出場の清水商(静岡)が、6-1で初出場の富岡(福島)に大勝した。前半は、FW進藤公平(3年)が、公式戦では初となる1試合2得点の活躍。後半は、ルーキーFW風間宏矢(1年)が2得点を挙げるなど、攻撃陣が爆発した。3日は、今冬の選手権ベスト4の前橋育英(群馬)と対戦する。

 “遅咲きのストライカー”FW進藤が、輝きを放った。前半6分、味方の左クロスをボレーで合わせ先制。同12分に失点し、同点とされたが、その6分後には、ゴール前の混戦から抜け出たボールを落ち着いてゴール左隅に流し込んだ。大滝雅良監督(57)は「彼はゴール前に入る独特の感覚がある」と絶賛した。167センチとチーム一小柄だが、俊敏な動きの中から2得点。傾きかけた流れを引き戻した。進藤は「もう1点欲しかったけれど、今までにない喜びを感じました」と目を輝かせた。

 人一倍強い負けん気が、進藤を成長させた。県総体では、元日本代表の風間八宏氏(47)の次男宏矢が9得点を挙げ、一躍脚光を浴びた。一方、進藤は県大会決勝で、後半から途中出場するも、再三の決定機を外し、悔しさだけが残った。「自分はいつも後半からの出場。1年の宏矢に負けたくなかった」と進藤。後輩の活躍を自らの発奮材料とした。新人戦以来の先発出場。前半3本のシュートで2得点挙げ、チームを引っ張った。

 初の全国大会にも気負いはなかった。神奈川出身の進藤は、中学時代のコーチの勧めもあり、清水商サッカー部の門をたたいた。「選手権の試合も生で見たことがある。名門校でやりたかった」。親元を離れて3年。この日は両親が見守る中、あこがれの全国舞台で躍動した。「試合前に『点取れよ』と言われた。親に恩返しができました」と笑った。

 後半は圧倒的にボールを支配し、サイド攻撃から得点を量産。同校では初となる初戦で6ゴールと大勝発進した。県内では最多の14回目の全国総体。「次も自分が点を取ります」と進藤。「夏の清水商」が帰ってきた。【神谷亮磨】