右ひざ手術から2季ぶりの復帰を目指す、フィギュアスケート男子の高橋大輔(23=関大大学院)が、355日ぶりに観衆の前で滑った。21日、横浜市の新横浜スケートセンターで行われたアイスショー「フレンズ・オン・アイス」の公開リハーサルに参加。328人の観衆に、3日前に完成したエキシビションの演技を披露した。

 昨年8月31日の関大でのイベント以来となる公の場での演技に「緊張して手が震えた」という。それでも冒頭、3回転フリップに果敢に挑み、痛めていた右足できれいに着氷。「1カ月前は着氷でかばったり、気にしていたけど今はない。痛みもない」。ノーミスで演じきり、トリノ五輪金メダリストの荒川静香を「1年ぶりとは思えない」と驚かせた。

 07年世界選手権銀メダリストは、昨年10月の練習中に右ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂、同内側半月板損傷の重傷を負った。昨季を棒に振り、手術後は1回転から練習を始めた。順調に回復し、今では従来は足りなかった下半身の柔軟性を身につけたという。「1年前は精神的にも追い込まれていた。けがで休んですべてがプラスになった」。現在では、最高難度の4回転にも着手。まだ成功してはいないが、今季のGPシリーズ初戦となるNHK杯(11月5日開幕、長野)には「確実に間に合う」と力を込めた。【高田文太】