打倒「チーム青森」の秘密兵器だ!

 カーリングで10年バンクーバー五輪代表を目指す常呂高に164センチの“大型新人”小野寺佳歩(17)が今季から加入した。昨季後半からチームに帯同していたが、選手層を厚くし、よりパワーアップするために正式にチーム入り。陸上の7種競技で全道3位、インターハイにも出場したアスリートが、五輪代表への原動力となる。

 氷に乗ると小野寺の表情が一変した。13日に地元北見市常呂カーリングホールで始まった本格練習。それまではお菓子の話などで盛り上がっていた女子高生が、勝負師の顔つきに急変した。164センチの長身で存在感も十分。「このチームに入って初めてのシーズンなので盛り上げていきたい。こんなチャンス今後、あるか分からない。ドカンとやりたい」。その言葉も力強かった。

 常呂高は2月の日本選手権で決勝に進出し、トリノ五輪代表のチーム青森を苦しめた。一躍、バンクーバー五輪代表候補に名乗りを上げたが、不安もあった。メンバー4人だけでリザーブがいない。選手層が薄く競争意識も芽生えなかった。そこで、白羽の矢が立ったのがライバルチームに所属し、ジュニア世代ではトップクラスの実力があった小野寺だ。

 陸上の7種競技で全道高校3位に入るなど、パワーとスタミナを兼備。特に4人はずっとポジションが固定されており、どのポジションもできるスーパーサブを必要としていたチーム事情にマッチした。小林博文コーチ(46)は「運動能力の高さが魅力。競争も生まれるしチームに刺激ができた」と期待する。

 常呂中時代は06年トリノ五輪直後の日本選手権でチーム青森を撃破する大金星を挙げた。小野寺は「当時は何にも考えていなかった」と振り返るが、地元の先輩でもある本橋麻里がいるチーム青森に対し「あくまで挑戦者ですけど、怖いってイメージはないですし、勝てないとも思っていない」と臆(おく)するそぶりもない。

 98年長野五輪代表の敦賀信人(31)も「(小野寺は)カーリングに大事な体幹がしっかりしている。パワーがあるので攻めにいって失敗しても切り返しのプレーができる選手。チームが危機のときに戦況を打破できる」と話す。小野寺加入でパワーアップした常呂高に大物食いの予感がしてきた。【松末守司】