<卓球:全日本選手権>◇4日目◇15日◇東京体育館

 静岡・清水国際出の池田和正(明大3年)が軽部隆介(同)と組んだ男子ダブルスで、松平健太(青森山田高)丹羽孝希(青森山田中)の世界選手権代表ペアを3-2で撃破し、ベスト8に進んだ。池田はシングルスでもシード選手を破って5回戦に進んだ。ジュニア女子で静岡市出身の鈴木李茄(15=エリートアカデミー)は惜しくも3位だった。男子シングルス、ダブルスでともに4連覇を狙う水谷隼(明大2年=磐田市出身)は順当に勝ち進んだ。

 歓喜の時は自分の手で決めた。日本代表組相手に、2-2で迎えた最終ゲーム。互いに引かぬ一進一退の攻防。先にマッチポイントを奪われた。だが、同点に追いつき、さらに加点。11-10から池田が放ったこん身のスマッシュが、相手のラケットをはじいた。その瞬間、雄たけびとともに180センチの体が高く飛び上がった。「まさか勝てると思わなかったので、うれしい。最高のプレーができました」。相方の軽部と喜びを分かち合った。

 相手は高校3年の松平健と中学3年の丹羽という年下とはいえ、横浜の09年世界選手権で予選リーグを突破した代表選手。「負けても失うものはない」というが、玉砕覚悟だったわけではない。「つないで相手のミスを誘う。そのために動く。1本でも相手よりつなげることを考えた」と、勝機を待っていた。

 昨秋、関東学生リーグで最多33度の優勝を誇る名門明大の主将に就いた。責任感が出て、元日も大学で年越し合宿を行い、全員で打ち込んだ。その成果で混合ダブルスは初の8強。男子シングルスでもこの日、特別シードの久保田隆三(シチズン)を4-2で破り、5回戦に進出。全種目で自己ベストに「正月合宿をやると決めた時は、みんなに文句を言われたけど、やってよかった」と笑った。

 祖母は世界選手権に6度出場し、全日本100勝の記録を持つ伊藤和子さん。池田も高校時代、海外のジュニアツアーで優勝経験を持つ。前日は祖母の記録が斎藤清(47)によって塗り替えられた。「清さんも明大の先輩。いろいろアドバイスをくれるんです」。100勝の遺伝子と、101勝の教えを受け、メダルに手を掛けた。【今村健人】