日本フィギュアスケート界に、強力な追い風が吹くことになった。国際スケート連盟(ISU)は6日、フィギュアのルール変更を発表。浅田真央(19=中京大)が武器とするトリプルアクセル(3回転半)や高橋大輔(24=関大大学院)らが跳ぶ4回転など、高難度ジャンプの基礎点を引き上げることが決まった。さらに回転不足と判定されたジャンプでも基礎点の70%が与えられる。高難度ジャンプに挑み続けた日本勢にとっては、従来通りの姿勢でリスクが軽減され、恩恵にあずかる形になりそうだ。

 日本スケート連盟が希望し続けていたルール変更が実現した。3回転半が8・2から8・5へ、4回転トーループが9・8から10・3へと、高難度ジャンプの基礎点が上がった。さらにすべてのジャンプについて回転不足と判定された場合でも、1/4~1/2回転とわずかな不足の際は、基礎点の70%が与えられることになった。従来は成功と紙一重のジャンプでも、回転不足と判定されれば基礎点が激減していた。それだけに浅田や高橋ら、高難度ジャンプに挑む現在の日本勢にとって不利になる要素はない。

 同連盟の伊東秀仁フィギュア委員長は「高度な技術を持つ日本の選手にとっては、より高度な技術に挑める。世界的に見ても、難しい技に挑もうとするスポーツ本来の姿を後押しするルールなのでいいこと」と歓迎した。2月のバンクーバー五輪で金メダルに輝いた女子の金妍児(韓国)、男子のライサチェク(米国)ともに高難度ジャンプを回避。近年のフィギュア界は全体の完成度を重視し、安全策を選ぶ傾向にあった。

 バンクーバー五輪で高橋は、失敗したがフリーの冒頭で4回転トーループに挑戦した。このジャンプは転倒した上に回転不足との判定で、3回転トーループの失敗とみなされ、限りなくゼロに近い得点しか稼げなかった。これが新ルールで1/2回転までの回転不足と判定された場合、基礎点が4・0から7・2へと飛躍的にアップ。同様に浅田が得意とする3回転半も、従来は3・5点だった基礎点が6・0点に跳ね上がる。

 実は6月のISU総会に向けて、日本スケート連盟としても同様の提案を予定していたという。伊東委員長は「五輪メダリストの浅田や高橋だけでなく、安藤や織田、小塚ら難しい技に挑戦しようとしている日本人は多い。この決定は大きい」と、日本代表の競技力向上につながると確信。日本勢にとって、14年ソチ五輪への視界が大きく開けてきた。