<ビーチバレー:全日本女子選手権>◇初日◇19日◇大阪・せんなん里海公園ビーチバレー競技場

 ビーチバレー界の「実力派新人」が満点デビューを果たした。バレーボール元日本代表・大山加奈さん(26)の妹で、5月までプレミアリーグ東レでプレーしていた未希(24=グランディア)が、藤原みか子(32)とのペアで登場。強烈なサーブや、179センチの高さを生かしたブロックなどで2連勝し、インドアから転向後初の大会で見事に予選を突破した。20日から始まる本戦では初戦で菅山かおる、駒田順子(ともに31)組と激突する。

 慣れない灼熱(しゃくねつ)の砂浜で大山が躍動した。鋭いジャンピングサーブを相手コートに突き刺し、日本女子ビーチバレー界一の長身(179センチ)で高い壁にもなった。東レではセッターを務めていただけにトスも柔らかい。「予選敗退だけは絶対ヤダと思ってました」。インドアから転向2カ月半。初出場の大会で新星が予選突破した。

 1学年上の姉加奈さんは、栗原恵との「メグカナ」コンビとして日本バレー界の期待を背負った大砲。大山は小、中、高、東レと姉と同じ道を歩んできた。すべてのカテゴリーで全国制覇してきたが、ついてくるのは「加奈の妹」という言葉…。時には悔しい思いもしてきた。

 今春、東レのリーグ3連覇を機に「やり切った」と、1年前から考えていたビーチへの転向を決断。5月末で退職すると、1カ月後には、故障が癒えなかった加奈さんも引退した。バレーを始めたのも辞めたのも一緒。それでも初めて姉と別れて歩む「道」には、04年アテネ五輪に出場した加奈さんに続いての「姉妹五輪出場」という夢がある。12年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪を視野に入れ「姉を連れて行きたいですね」と声を弾ませた。

 現在は神奈川・鵠沼海岸を拠点に活動する。「砂に慣れていないし、風に流されるし」とインドアと違う壁にぶつかりながら、相棒の藤原は潜在能力に驚く。「ブロックはいいし、ちゃんと踏み込めた時のスパイクはすごい」。アタッカー、リベロ、セッターを経験してきた万能選手は、未完成でも既に光っている。

 この日は真っ赤なビキニを格好良く着こなした。「水着には抵抗なかったのですが、日焼けが。美白が…」。真っ赤な顔で自慢のお肌をさする妹を見て、応援に駆けつけた加奈さんは「イキイキとしてますね」とうれしそう。インドアの先輩、菅山との対決で始まる本戦でも“ミキ旋風”の予感を漂わせた。【近間康隆】