「北の鉄人」は無事だった。かつてラグビー日本選手権で7連覇を達成した釜石シーウェイブス(SW)は、地震の発生以来、日本ラグビー協会が連絡がとれないとしていたが、13日に安否が確認された。選手とその家族はグラウンド近くのプレハブに集まり「被害に遭われた方にチームで何か協力したい」と、地元への恩返しを誓っている。

 釜石市内のグラウンドに隣接する民家3軒分の平屋のプレハブで、釜石SWの選手やその家族ら約70人が生活していた。現在、同市内のライフラインの復旧は水道のみ。選手は食事や風呂用のまきを割ったり、草むしりなどのグラウンド整備をしていた。電話回線が使えないため、親族や友人の安否を心配する選手もいた。

 この日は、仲上太一マネジャーのみがチームについて報告。「我々は全員無事で、被害はありません。(津波被害で)市内には困っている人がたくさんいますので、これからチームで何かご協力できればと思っています」。

 地震当日も電話回線が使えず、安否確認が出来なかったため、選手とその家族は自然とグラウンドに集まったという。まさにチームの団結力が安否確認へとつなげた。

 近くにあるサッカー場は防災救護用のヘリポートとして使われていた。グラウンドから約2キロ離れたJR釜石駅前には、流木や車がひっくり返っており津波の被害を物語っていた。避難した女性は自宅へ戻り、魚の臭いがする泥を自衛隊員と一緒にかき分けていた。酒屋を経営する男性(42)は「地震直後は、高台に逃げようとする車で渋滞していた。必死に走って逃げる人もいたけど『ごーっ』と、津波に一瞬でのまれた」と話していた。【峯岸佑樹】