4月の世界選手権で6位に終わった女子フィギュアスケートの浅田真央(20=中京大)が、被災地・東北で来季復活への再スタートを切る。6日、都内でアイスショー「ザ・アイス」の会見が行われ、主催者側は7月に愛知と大阪で行われる同ショーを、同月に東北地方でも無料開催(会場未定)する計画を発表した。同世界選手権男子銀メダルの小塚崇彦(22)とともに出演予定の浅田は、そこで来季のプログラムを公開することを明言した。

 浅田から被災地へ、大きなプレゼントだ。会場は未定だが、震災後、初めて訪問する被災地で来季のプログラムを披露することを明言した。「新しいプログラムを、そこで滑ることになると思う」。被災地の復興へ協力するとともに、自らも被災地から女王奪回へ再スタートを切る。

 今季は、基礎からジャンプや滑りを作り直したことで、散々なシーズンとなった。2季連続でGPファイナル進出を逃し、世界選手権は五輪、同選手権を通じて自身最低の6位に沈んだ。「被災者の方々をいい成績で元気づけたい」という思いもかなわなかった。

 浅田ら日本代表は同選手権までは、試合に集中することで、被災地への表立った慈善活動はできなかった。しかし、今季がようやく終了し、「自分も素晴らしい演技をして被災地の皆さまに届けたい」と、新プログラムを引っ提げて被災地に赴くことになる。

 東北開催は愛知と大阪公演の間で、7月25~29日のうち1日を予定している。場所は調整中だが、関係者は「氷があればどこでも行く」。同地域のリンクは仙台が被災して使用不可。使える青森の八戸、岩手の盛岡のリンクが会場の候補だ。ショーだけでなく、避難所への慰問も計画中。小塚も「スケート選手が(他のスポーツ選手に比べ)後れを取っていると感じている。被災地にどんどん行って心のケアになりたい」と、熱い気持ちを打ち明けた。

 愛知、大阪公演では最高2万円のチケットは、東北では無料になるという。通常、ショーへの出演には出演料が発生するが、浅田や小塚は今回のショー全てに無償で協力するボランティア出演となる。「新しいプログラムは、一段落したら考えたい」と浅田が心を込めた新たな演技で、被災地と自らに元気を与える。【吉松忠弘】