<体操:NHK杯兼世界選手権代表最終選考会>◇初日◇11日◇東京・代々木第1体育館

 2012年ロンドン五輪へ、日本女子体操界に小さな秘密兵器が誕生だ。身長138センチと今大会最も背が低く、15歳と代表有資格者の中で最年少の寺本明日香(レジックスポーツ)が、52・800点をマーク。全日本の持ち点と合わせ合計158・450点で代表選考レースで4位に浮上した。今大会終了後に発表される個人総合上位8人の日本代表候補圏内につけた。鶴見虹子(18)がトップで、2位に田中理恵(24)が続く。男子は内村航平(22)が首位につけた。

 小さな体が思いっきり平均台を蹴った。寺本が体を3回クルクルとひねって着地だ。少し乱れたが、鶴見もできないF難度の降り技で小さな胸を精いっぱい張った。「このまま明日もノーミスでいきたい」。代表2次選考会の全日本の5位から、4位に浮上した。

 5月の全日本から選考レース3日間ほぼノーミス。技の難しさは出場選手中、最高難度に設定。難度を表すD得点の合計23・6点はエースの鶴見を0・4点上回る。この日は結果的に鶴見と同点だったが「跳馬は高さが出て良かった。いつも通りできた」と満足顔だ。

 最低身、最軽量、最年少のミニオンパレード。学校での整列順は幼稚園から常に一番前で上履きのサイズは21センチの特注品。今大会の申請資料には「135センチ、30キロ」と過少申告されるありさまで、本人が膨れっ面で「138センチ、32キロです」と訂正する場面もあった。

 ただミニサイズは体操では有利なことも多い。「段違い平行棒で下のバーにぶつからない。思い切って演技ができる」。同種目では鶴見、田中に続く3番目の13・000点をマーク。私生活でも「(小さくて)すぐに覚えてもらえる」。

 昨年までは年齢制限で一般の国際大会の代表にはなれなかった。今年初めて訪れたチャンスで、いきなりの世界選手権代表入り目前だ。「日本代表として出るのが夢。絶対に8位までに入りたい」。ロンドン五輪に向けた大きな夢が、小さな体に宿った。【吉松忠弘】