ビーナスに敗れたとはいえ、40歳のクルム伊達が世界を驚かせた。近代テニス発祥の地英国の、目の肥えた観客も総立ちでクルム伊達の健闘をたたえた。一夜明けた激闘を伝える地元紙も、絶賛の嵐だ。インディペンデント紙は「これが40歳のテニスと、誰が信じるだろうか」。「長いウィンブルドンの歴史の中でも、女子の試合では指折りのレベルの高さだった」と、クルム伊達のプレーに舌を巻いた。

 来年の7月には、この地でオリンピックのテニス競技が行われる。クルム伊達は「そんな先のことは分かりません」と、常々、答えてきたが、現在の世界ランクを維持さえすれば、96年アトランタ五輪以来、3度目の五輪出場も可能だ。ビーナスが「芝はキミコが最も力を発揮できるコート」と話しているように、41歳でのロンドン五輪出場、そしてメダルの可能性も見えてきた。