競泳女子平泳ぎ200メートルの日本記録保持者・金藤理絵(22=Jaked)が、「科学の力」でよみがえった。競泳世界選手権(24日開幕・上海)に向けた日本代表は13日、前日に引き続き北海道合宿(野幌総合運動公園)を公開。前回の世界選手権で日本女子最高の5位入賞した200メートルの第一人者が、今合宿を前に「山ごもり」ならぬ「低圧室ごもり」をしていたことを明かした。

 母校・東海大スポーツ医科学研究所の「低圧トレーニング室」を利用し、富士山にも迫る標高3500メートルの空間に身を置いた。高山病のリスクさえ伴う中で、心肺機能を高めるさまざまな運動を行ったという。そんな努力もあって持久力がアップ。「今回泳いだら、あまり乳酸値が出なかった。一番調子がいい時よりも速い」と言うほどだ。

 北京五輪で7位入賞し、09年9月には2分20秒72という世界歴代4位の記録を樹立。しかし昨季は腰の負傷に悩み低迷した。今季も4月の選考会は2分25秒36(2位)とタイムは伸びず、5月のジャパンオープン100メートルでは中学生の渡部香生子に敗れ、完全に引き立て役に。まさにここ1年間は鳴かず飛ばずだったが、上海入りを前に「自分らしい大きな泳ぎがしたい。出し切ることがテーマ」と吹っ切れた。斬新なボクシング練習に続く、あの手この手。鉄腕アトムのように、「科学の子」金藤が目覚めた。【佐藤隆志】