<ラグビー:W杯壮行試合:日本20-14米国>◇21日◇東京・秩父宮ラグビー場

 W杯2勝が見えた!

 カーワンジャパンが「仮想カナダ」に競り勝ち、W杯へ弾みをつけた。米国に苦しみながらも後半の鮮やかな逆転劇で勝利。9月9日にニュージーランドで開幕するW杯で、目標とする1次リーグ2勝が現実味を帯びてきた。今日22日に登録30選手が発表される。過去最強の戦力で、世界を驚かせる準備が整った。

 盛夏が過ぎた季節のように、カーワンジャパンにも実りの秋が訪れようとしている。霧雨の秩父宮は、8月とは思えないような肌寒さに見舞われた。「仮想カナダ」として臨んだ米国戦で、日本は収穫をつかんだ。確かにミスも目立った。それよりも勝って、W杯に挑めることが大事だった。

 「(内容は)ちょっと…。でも勝ちました。これ、いいね」。ジョン・カーワン・ヘッドコーチ(46)は日本語でそう言い、英語に切り替えて「W杯前の試合は好きではないんだ。前回W杯前も、私がイタリア代表を率いた時(03年W杯前)にスコットランドとやった時も良くなかった。でも今日は選手がケガなく終わった。ポジティブ」と機嫌が良かった。

 挑む壁は高い。初戦は強豪フランス、2戦目は開催国で95年大会で17-145の歴史的大敗を喫したニュージーランド。だが通算1勝1分け18敗と手も足も出なかった過去6大会とは違い戦力が充実してきた。華やかなスターはいないが、外国出身選手と泥臭い仕事ができる日本人が融合しつつある。3戦目のトンガには5連勝中、4戦目カナダにも2連勝中。フランス戦で奇跡を起こせば、決勝トーナメントも夢ではない。

 「仮想フランス」として臨んだ13日イタリア戦も24-31の大善戦だった。この日はW杯登録の当落線上の選手を起用し、1・5軍で勝った。序盤にノーホイッスルトライを与え、攻めてもミスで3つのトライをふいにした。一方で後半26分に展開力からトライを挙げるなど持ち味も見せた。課題は修正できる。NO8菊谷主将は「天候が悪いからミスが出たけど、まあまあの試合」と笑顔だった。

 野望は膨らんだ。カーワンHCは「最初の2戦は接戦に持ち込んで(残り2戦で)2勝する。日本が成長したことを知らしめたい」。いよいよ、世界を驚かせる旅に出る。【益子浩一】