<女子バスケットボール:ロンドン五輪アジア予選兼アジア選手権>◇初日◇21日◇長崎・大村市体育文化センター

 「隼ジャパン」が幸先のいいスタートを切った。2大会ぶりの五輪出場を狙う日本は、レバノンに77-49で快勝。2-5の第1クオーター(Q)2分から、主将の大神(おおが)雄子(28=JX)が3本連続でシュートを決めて逆転し、白星発進した。優勝国が来年のロンドン五輪出場権を獲得する大会。日本は今日22日、1次リーグ台湾戦に臨む。

 日本を勢いづけたのは、やはり大神だった。開始直後、硬さで日本のシュートが入らない。世界ランク15位が同55位レバノンに主導権を握られかけた危機に、170センチの背番号13が本領を発揮した。2-5の第1Q2分から、2分間で3連続得点。「代表が初めての選手もいるし、私にできるのは積極的に声を出すこと」と鼓舞する主将が9-5に逆転させ、その後は2度とリードを許さなかった。

 一体感をつくった。前日20日のミーティングでサプライズを用意した。「みんなの協力があって代表がある」と、秘密で日本リーグ1部8チームへメッセージを依頼し、13分間のVTRに編集。各チームが熱く語る代表への思いに、いすに座っていた選手はいつの間にかテレビにかじりついていたという。最後は円陣で気合注入。“プロデューサー”は「気持ちを1つにできた」と満足げに笑った。

 山形市出身で、シューズのかかとには「NEVER

 FORGET(忘れない)3・11」の文字。大会終盤には宮城・女川町の被災者20人を自費で招待する。高校生の長岡(札幌山の手)や20歳の191センチ渡嘉敷(JX)も国際大会デビューで得点するなど、白星で踏み出したロンドンへの第1歩。愛称「隼ジャパン」のように速さでコートを駆け抜ける大神は「もっとシュートは打てるし、ガンガン行きたい」と元気いっぱいだった。【近間康隆】