【オークランド(ニュージーランド)11日=益子浩一】日本代表がピンチに陥った。善戦した強豪フランス戦から一夜明けた11日、FWの軸で日本国籍のNO8ホラニ龍コリニアシ(29=パナソニック)が、右膝靱帯(じんたい)断裂の疑いでW杯登録から外れた。日本協会は急きょ、タウファ統悦(30=近鉄)を追加登録し、近日中に現地入りさせる。同じくFWの軸のジャスティン・アイブス(27)に続く主力2人目の離脱。世界ランク1位ニュージーランド戦(16日、ハミルトン)を前に、弱点のFWに不安要素が増した。

 フランス戦の前半途中で負傷交代したホラニの症状は、想像以上に深刻だった。激闘から一夜明けたこの日、現地は冷たい雨が降り注いだ。早朝に宿舎ホテルで取材に応じた日本協会の太田治GM(46)は、苦渋の表情でFWの軸の離脱を伝えた。「おそらく靱帯が切れている。手術になるかも知れない」。9日にアイブスが左膝負傷で登録を外れたのに続く、先発メンバー2人目の離脱。日本が窮地に立たされた。

 ホラニは欠かせない存在だった。15歳でトンガから来日し、埼玉工大深谷高(現正智深谷)から埼玉工大に進学。15年も日本に滞在し、07年には日本国籍を取得した。身も心も「日本人」として、08年に初の代表入りを果たした。188センチ、111キロの体格を生かした突破力で、日本の弱点であるFWの穴を埋める役割を果たしていた。後半途中まで一時は4点差まで迫ったフランス戦も、スクラムなどFW戦で完敗。主力FWの離脱は、目標のW杯2勝へ、絶対に落とせない21日トンガ戦、27日カナダ戦へ暗雲が漂う。

 カーワンジャパンは急きょ、同じく日本国籍のタウファ統悦を追加登録した。タウファ統悦は「責任を感じています。必死に日本のために戦ってきたい。そしてプレーを通じて東日本大震災で被災された皆さんの少しでも力になりたい」と協会を通じてコメント。現在は日本にいるため、現地入りは早くても明日13日。16日の優勝候補ニュージーランド戦には、間に合わない可能性が高い。