<トライアスロン:2011世界選手権シリーズ横浜大会>◇19日◇横浜・山下公園ほか◇51・5キロ(スイム1・5キロ、バイク40キロ、ラン10キロ)

 男子エースの細田雄一(26=グリーンタワー・稲毛インター)が、日本人過去最高の10位に入った。昨年アジア大会金メダルの細田は、ランで一時トップに立つ積極的なレースを展開。最終的に順位を下げてロンドン五輪代表が内定する8位入賞は逃したが、地元大会を盛り上げた。女子は同五輪代表に内定した上田藍(27=シャクリー・グリーンタワー・稲毛インター)が、日本勢最高の8位になった。

 世界の強豪を抑え、ランでトップに立ったのは細田だった。1周5キロのバイクコース、7周目まで集団の後方にいた細田が、8周目のラストで仕掛けた。赤レンガ倉庫を横目に、外国勢を縫うように前に出る。3位で終えたバイクを素早く降り、最後のランに飛び出す。外国選手たちが「カミカゼ!」と驚いた瞬発力。日本の男子が世界選手権シリーズでトップを走るのは史上初の快挙だった。

 「声援に押された。先頭を走るのは、気持ち良かった」と細田は言った。ランでは9人に抜かれたが、10位は2年前の横浜大会で田山寛豪が記録した13位を上回る同シリーズ日本人男子最高。五輪内定は逃したが「本当は表彰台を狙っていた。でも、いいレースができた」。日本代表の飯島監督も「積極性が素晴らしいところ」と目を細めた。

 Jリーガーを目指していた細田は、徳島・池田中2年の98年に留学したオーストラリアでトライアスロンに出会った。02年に帰国し翌年に稲毛インター入りすると持ち前の運動能力で急成長した。06年に拠点を大阪に移したが、08年北京五輪出場を逃して再び稲毛インターへ。五輪という明確な目標に向けて「今は楽しくて仕方ない。スピードは世界に負けない自信がある」。女子に押され気味の男子だが、細田はエースの自覚を胸にロンドンを目指す。

 ◆細田雄一(ほそだ・ゆういち)1984年(昭59)12月6日、徳島・三好市生まれ。14歳の時にオーストラリアでトライアスロンを始め、17歳で帰国して稲毛インター入り。10年石垣島大会2位で初めてW杯の表彰台に乗り、同年11月のアジア大会で優勝。あこがれはカズで、尊敬するのはイチロー。175センチ、63キロ。