W杯で1次リーグ敗退に終わったラグビー日本代表の次期ヘッドコーチ(HC)候補、トップリーグ・サントリーのエディー・ジョーンズ監督(51)が、就任に前向きな考えを示した。東京・府中市の練習場で28日、日刊スポーツの取材に応じ、退任が濃厚なジョン・カーワンHC(46)の後任に名前が挙がっていることについて、「会社(サントリー)とも話さなければならないが、もし私に話が来たら真剣に考えたい」と話した。日本再建の長期ビジョンも熱弁するなど、協力を惜しまない考えだ。

 愛する日本のラグビーを発展させたい-。日本人の母を持つジョーンズ監督が、第2の母国の新たなかじ取り役に興味を示した。「会社とも話さなければならないが、もし私に話が来たら真剣に考えたい」。慎重に言葉を選びながらも、口調には熱がこもっていた。

 96年に日本代表のコーチをしたことがあり、「とても楽しかったのを覚えている」と振り返る。一方で、目標の2勝を達成できず、1分け3敗に終わった今大会からのチーム再建は至難の業だ。「日本にとっては非常に残念な大会だった。今は誰が就任するとしても、たくさんのことをしなければならない。選手選考から見直さなければならないだろう」。いばらの道になることを覚悟しつつ、思いを打ち明けた。

 09年にサントリーのGMに就任し、昨年からは監督も兼任する。オーストラリア代表や欧州クラブなどで指導歴がある世界的名将が、日本に戻ってきたのには理由がある。日本のラグビーを発展させたいという思いがあったからだ。「今はサントリーでそれ(日本への貢献)をしていると思っている」。クラブでの指導が、代表につながるような育成をしてきた自負がある。今大会にWTB小野沢、SH日和佐ら教え子6人を送り出したことが、その証しだ。

 それだけに、しっかりと長期的なビジョンも持っている。「15年W杯を経験した選手の半分が、(日本開催の)19年大会に残ることが理想だ」。強化の目は、指導陣にも注がれる。「外国人がHCになった場合、日本人の若い指導者を育てることも役割の1つだと思う」。日本協会からの公式なアプローチはまだないが、ジョーンズ監督にやる気は十分。協会、サントリーを含めた今後の動向が注目される。

 ◆エディー・ジョーンズ

 1960年1月30日、オーストラリア・タスマニア島に、オーストラリア人の父と日本人の母との間に生まれる。現役時代はフッカーとしてプレー。引退後、教職に就いた後に指導者へ転身。クラブチーム監督を経て、01年にオーストラリア代表監督に就任した。母国開催の03年W杯は準優勝で、05年に退任。07年には技術アドバイザーとして、南アフリカのW杯優勝に貢献。09年にサントリーGMに就任。10年から同監督を兼任。