<世界体操>◇9日目◇15日◇東京体育館

 つり輪で山室光史(22)が銅メダルを獲得した。

 山室は悔しがった。昨年4位の種目別つり輪。演技中、体に“余裕”を感じて、最後の着地で「もう1回多くひねろうか」と考えてしまった。増やせばD得点が0・2点上がり、金メダル争いができる-。その迷いが、着地の乱れにつながった。ひねりは増やさなかったが、右足が1歩動いた。「悔いが残る」。それでも85年大会3位の山脇恭二以来、26年ぶりの同種目メダル。個人総合3位の実力は、だてじゃなかった。

 前日の銅メダルにも、普段通りだった。午前9時半の起床まで8時間半睡眠。「夜遅かったから」と、約40件届いた祝福メールは目を通しただけで終えた。そして今大会最後の得意種目では「他の選手との違いをつけたい」と、2秒の静止が必要な十字懸垂で3秒近く止まった。「つり輪の選手は人間じゃない」と自ら笑う力自慢の中に、堂々と割って入った。「最後のひねり技は来年に取っておく」。日本体操界一のマッチョな体で、その名を世界に知らしめた。【今村健人】