<男子テニス:スイス室内>◇5日目◇4日◇スイス・バーゼル◇シングルス準々決勝ほか

 日本のエースで、世界ランクの日本男子史上最高位を更新した世界32位の錦織圭(21=ソニー)が、ついに世界ランクで20位台に突入する。準々決勝で、同113位のミハイル・ククシュキン(23=カザフスタン)に6-4、5-7、6-4のフルセットで勝ち、世界ツアーで自身7度目のベスト4に進出。7日発表予定の最新世界ランクで20位台になることが確実となった。

 10月17日に世界30位となり19年ぶりに日本男子最高位を更新した錦織の快進撃が止まらない。初戦で世界7位を破ったのに続き、この日は、格下に手を焼いたが、最後はガッツポーズを繰り出し、突き放した。これで世界ランクのポイントを180点上乗せ。最新世界ランクで25位前後になる。

 右肘の故障で09年3月から10年4月まで、1年以上、実戦から遠ざかった。本格的に復帰した昨年の4月には、一時、世界ランクがなくなった。それからたった1年半で急浮上。錦織も「できれば今年を20位以内で終われればうれしい」と、何と10位台までもが視野に入った。

 3週前の上海大会準々決勝で、右足首を捻挫した。大会後、拠点とする米国フロリダに戻り、治療とトレーニングに専念。今大会から復帰した。まだ完治はしておらず、時折、痛そうなそぶりも見せるが「思い切りプレーするだけ」と、好調さが故障も上回る。

 特に、今年9月からのアジアツアーで躍進した。10月に東京で行われた楽天オープンでは初戦で敗れたが、マレーシア、上海で4強入り。この日までの12試合で、トップ20からの勝ち星が4回で、そのうちの2度がトップ10撃破。9月の国別対抗戦デ杯では、代表として日本を27年ぶりの世界グループ復帰に導いた。

 この躍進で、ツアーが選ぶ今年の最も飛躍した選手にもノミネートされた。古くはマッケンロー、ベッカー、アガシ。最近ではナダル、ジョコビッチが受賞している世界トップへの登竜門だ。「最高の気持ち。多くの人に投票してもらいたい」。アジア男子の最高位は、03年5月にスリチャパン(タイ)が記録した9位。その更新も夢ではなくなった。