<柔道:講道館杯全日本体重別選手権>◇最終日◇13日◇千葉ポートアリーナ◇男子60キロ級

 男子60キロ級に期待の新星が現れた。世界ジュニア王者の高藤直寿(18=東海大相模高)が準決勝で、世界選手権銀メダルの平岡拓晃(了徳寺学園職)に一本勝ち。決勝では優勢に進めながら逆転負けで準優勝に終わったものの、大会後に発表されたグランドスラム(GS)東京(12月、東京体育館)代表に大抜てきされた。また同代表では8月の世界代表から男子100キロ超級の上川大樹(明大)女子52キロ級の西田優香(了徳寺学園職)らが外れた。

 将来への期待感がたっぷり詰まった、鮮やかな小内刈りだった。準決勝残り2分32秒。高藤は「あこがれ」の平岡に得意技を仕掛けた。世界銀メダリストをして「あんなにきれいに投げられたのは(世界1、3位の)ソビロフかザンタラヤだけ」と言わしめた一本勝ち。決勝では、先に有効を2つ奪いながら「自分の方が強い」と油断して一本負けした。それでも「自分は弱くないと分かった」と、流れる涙をぬぐった。

 男子66キロ級世界王者の海老沼匡と同じ道場で、7歳から柔道を始めた。優勝した世界ジュニア(南ア)から9日に帰国。時差ぼけで眠れなかったが、男子高校生では4年ぶりに決勝に進んだ。男子代表の篠原監督は「思い切りがいい」と高く評価し、12月9日のGS東京代表に抜てき。同日にあった高体連のフランス遠征を急きょ取りやめた高藤は「五輪は世界ランクがなくて厳しいけど、悩ませるくらいかき回したい」。威勢のいい言葉が響いた。【今村健人】