<アメリカンフットボール:ジャパンXボウル・第25回日本社会人選手権・オービック24-17富士通>◇19日◇東京ドーム

 オービックがエースの3TDで、初のV2を達成した。富士通に先制されて攻撃も抑え込まれたが、第3QにWR木下典明(28)が98ヤードキックオフリターンTDで反撃開始。第4Qには10ヤードTDレシーブで逆転し、さらに66ヤードTDレシーブも決めた。最もNFLに近づいた男が、MVPの大活躍で24-17の逆転勝ち。リクルート時代から通算6度目の優勝はパナソニックと最多タイ。来年1月3日の日本選手権ライスボウル(東京ドーム)で、関学大と対戦する。

 重苦しいムードを切り裂いたのは、やっぱり木下だった。第3QにFGで3-10とされた直後のキックオフ。ゴール前2ヤードからスピードの違いを見せつけ、一気にエンドゾーンへと98ヤードを駆け抜けた。大橋ヘッドコーチは「とにかくTDがほしかった。あれが大きかった」と、反撃のノロシになった。

 第4QにQB菅原のパス3本で逆転した。最後は木下への10ヤードTDパス。さらに次シリーズの1プレー目に66ヤードの1発TD。「ここまで活躍してなかったので、やっとチームのために働けた。奥は抜く自信があったので」と、木下はホッとした表情を見せた。

 立命大時代に大学3連覇、ライスボウルでV2に導いた。05年に卒業後はNFLを目指し、下部組織のNFL欧州でプレー。06年から2年間はNFLファルコンズのキャンプ参加など、最も本場に近づいた日本人だった。

 NFLへの道が難しくなり、今季オービックに入団して初めてXリーグでプレーした。TDレシーブはいずれもメーンターゲットではない。QB菅原は「結局はノリさんが抜け出し空いている。レベルが違う。僕らのレベルも上げざるを得なかった」。米国での経験が連覇へ導いた。

 木下は母校大産大付でコーチをしている。23日には3年ぶり日本一をかけ、早大学院との全国高校選手権決勝が控える。「3つの日本一が目標」。さらにライスボウルでは最多記録更新となるチーム5度目のVを目指す。【河合香】

 ◆オービック・シーガルズ

 83年11月にリクルートの同好会で創部。88年企業スポーツとして加盟し、89年東日本1部昇格。96年度Xリーグ初代王者で、ライスボウルも制して初の日本一に。99年クラブチーム化、02年はシーガルズで活動、03年からオービックがスポンサー。通算4度日本一。