＜テニス：全豪オープン＞◇２日目◇１７日◇オーストラリア、メルボルン・ナショナルテニスセンター◇男女シングルス１回戦

　“錦織世代”が、日本男子の歴史を塗り替えた。日本のエースで、４大大会初シードになった世界２６位の錦織圭（２２＝フリー）が、同１０６位のステファン・ロベール（３１＝フランス）を撃破すると、大会推薦出場で同１１７位の伊藤竜馬（２３＝北日本物産）も、同６２位のスタラーチェ（イタリア）を４セットで破り、自身４大大会初勝利で続いた。全豪で２人以上の日本男子が勝ち星を挙げるのは７２年の九鬼潤、田辺清以来４０年ぶりの快挙。４大大会でも７４年全仏以来となった。

　１歳年上の伊藤も負けてはいられない。錦織の１勝で、先輩の負けじ魂に火が付いた。「圭も勝って、自分も勝つ」。以前は、精神的に崩れることが多かったが、この日は「集中力が続いた」と、第２セットを取られても、すぐに立ち直った。

　大会推薦のアジア枠で、本戦出場を手にした。２週前に、推薦出場決定を聞き「オッ！」と、心の中でガッツポーズ。「まさか取れるとは思っていなかった」と言うが、「これを生かさないといけない」と、固く試合前には誓っていた。

　錦織とは「圭」、「たっちゃん」と呼び合うマブだちだ。１歳違いだが、ジュニア時代には対戦がなく「１つ下に強いやつがいる」程度の意識だった。しかし、プロ転向後、大会で一緒になることが多くなり「上位に圭がいることで勉強になる」と、後輩をお手本に成長した。

　名前は、父幸治さんが坂本竜馬が好きなために名付けた。加えて、たつ年で、今年は年男。錦織に続いての活躍は、まさに昇り龍で「今年は自分の年にしたい」と胸を張る。今年のロンドン五輪にも「チャンスはある。ぜひ出たい」と意欲的だ。

　錦織世代は、伊藤だけではない。伊藤と同じ年で、全豪前哨戦のインドで、自身初めてツアー８強入りを果たした杉田祐一もいる。日本のＮＯ・２の添田豪は、錦織に続いてトップ１００入りの世界９９位。日本男子テニス界の長い夜が、今、明けようとしている。【吉松忠弘】