専属パートナーで3連覇だ!

 ロンドン五輪レスリング女子63キロ級で日本女子初の3連覇を狙う伊調馨(27=ALSOK)に、専属の“付け人”が用意されたことが17日、分かった。日本協会が高校、大学時代の後輩で元世界選手権59キロ級代表の山名慧(25)と契約。ロンドン五輪まで伊調専属の練習相手につけた。協会主導でパートナーを設けるのは異例で、経費など山名にかかる費用約200万円は、文部科学省が有望競技を特別支援する「マルチサポート事業」を用いて協会が支給する。福田富昭会長は「絶対に3連覇させるため。協会挙げての金メダル作戦」と明かした。

 09年末に拠点を母校の中京女大(現至学館大)のある愛知から東京に移した伊調はこれまで、レスリングの幅を広げようと、主に男子と練習を行ってきた。だが、代表合宿がなければ出稽古で練習相手や場所を探す日々。特に最初は「女子だから」と相手にされず、その日の練習に支障が出ることも多かった。

 そこで、協会と「女子」のパートナーを探し、昨年末の全日本で引退した、2歳下の山名が浮上。階級が近く、中京女高(現至学館高)時代は伊調の朝練の相手をずっと務めるなど気心も知れているため、伊調自らが依頼して決まった。同会長は「女子の相手というのが大きい。練習だけでなく、精神面のサポートもしてほしい」と期待した。

 2月下旬から東京ナショナルトレセンに泊まり込み、洗濯も引き受ける山名は「馨さんのレスリングが好きで、本当に楽しい。もっと強くなって、役に立ちたい」。伊調も「知っている後輩だし、こういう練習がしたいと頼みやすい。何より『楽しい』と言ってくれることが救いですね」と喜んだ。前人未到の女子3連覇へ、環境がまた1つ整えられた。