<卓球:世界選手権団体戦>◇2日目◇26日◇1次リーグC組◇ドイツ・ドルトムント

 “第3の女”が五輪メダルへの武器になる。日本女子はポーランドを3-0で下して3連勝を飾った。福原愛(23)に続き2番手で出場した平野早矢香(27=ミキハウス)が、今大会チーム最多となる4勝目(不戦勝含む)をマーク。前夜のセルビア戦(3-1)でも、得意とするカットマンのエルデリを下して勢いをつけた。福原、石川佳純(19)とのロンドン五輪団体戦で鍵を握るベテランが、存在感を見せた。

 コートの中で顔に似合わぬ野太い声が響き渡った。力強くこぶしを握り締め、仲間のベンチへ笑顔で駆け寄った。石川を抑えて2番手で起用されたポーランド戦。予想されたカット選手とは当たらなかったが、粘るグジボフスカをフルゲームで下した。今大会チーム最多の4勝目。与えられた役割を存分に果たして「相手が向かってくるのに負けず、自分も向かって行けている」と笑顔を見せた。

 もはや欠かせぬ柱になった。前夜のセルビア戦では、福原ら日本選手が苦手とするカットマンに3-0で完勝した。第2ゲームでは9-10から3得点を連取。得意の秘訣(ひけつ)は「粘りですかね。どっちがカットマンか分からないくらい、粘る気持ちを持っているので」。だが、存在感はカット選手が相手のときだけではない。初戦のスペイン戦もこの日も、粘る相手を動じぬ心ではねのけた。村上監督は「団体戦の平野だね。団体戦に強い」と頼もしげだった。

 福原と並んで最多5度目の世界団体戦。主将の藤井は「ムードメーカーは早矢香ちゃん」という。開幕前日の24日に27歳になった。元日本代表で同僚の樋浦令子さんから部屋着ブランド「ジェラートピケ」を贈られると、ずっと感激。「ありがとう、令子ちゃん」を20回近く繰り返して周囲を笑わせた。「まだ子どもっぽいので、27歳らしくなりたい」と誓う姿は、日本の雰囲気を変える力を持つ。

 4月にロンドン五輪のアジア予選(香港)を控え、これを経て確定する五輪団体戦では福原、石川に次ぐ3番手としてメダルの鍵を握る。存在感は十分だ。今日27日は、1次リーグ最大のヤマ場の地元ドイツ戦。「ここまで来たら、技術よりも気持ちと気持ちのぶつかり合い。自分も応援してもらえるくらい、いいプレーをしたい」。平野には、主役に躍り出る力がある。【今村健人】◆平野早矢香(ひらの・さやか)1985年(昭60)3月24日、栃木県鹿沼市生まれ。仙台育英高1年時の00年度全日本ジュニア優勝。全日本女子優勝5度。08年北京五輪は単3回戦、団体4位。世界選手権は個人、団体を合わせて今大会で11度目の出場157センチ、54キロ。