<フィギュアスケート:世界選手権>◇最終日◇3月31日◇フランス・ニース◇女子フリー

 浅田真央(21=中京大)はSPに続きトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に失敗した。今季ワーストの105・03点。総合164・52点の6位。一夜明け、14年ソチ五輪へ「向上を目指す」と言った。

 曇り続けてきた浅田の表情が、一瞬だけ晴れた。2年後のソチ五輪。その大目標について聞かれると「いまの状態から上を目指していけば、100点以上になる。向上を目指して頑張ります」。苦闘のフリーから一晩たち、気持ちを奮い立たせようとしていた。

 前日は「56回目の挑戦」が散った。ニース入り後は練習、SPで3回転半に挑み続けること55回。フリーが56回目だったが、抜けて1回転半に。執念は実らなかった。他のジャンプでもミスが目立ち「なんでなのかな…」とぼうぜん。昨年2月の4大陸選手権以来1年ぶりの代名詞復活はお預けとなった。

 日本での好調さが消えた要因について「わからないけど、なにか体が動いていなかった」と話した。佐藤コーチは「力みが入っていた。いろんな重圧があったのかな」と分析した。

 絶不調の中での挑戦について、同コーチは「(浅田から3回転半を)取り上げるとテンションが下がる。日本では本当に良かったから、跳ばせてあげたかった」と説明し「ここが目標ではないですから」と続けた。指導はまだ2年。信頼関係をより深めるため、浅田も「日本に帰って、先生といろいろ話したい」と希望した。

 これで母国開催の国別対抗戦出場(19~22日、代々木第一体育館)は微妙な立場になった。女子シングル出場は2人。世界ランクの上位2人の出場が通例で、同8位の浅田は日本人4番手。代表から漏れる可能性もある。

 視線は先に。2回転半との使い分けについて「今後、先生とやる上で大会の時で使い分ける必要はあるかな」とうなずいた。トンネルの先、光があると信じ、進むしかない。【阿部健吾】