半月で「地球1周」を超える過酷なツアーから、ロンドン五輪へ再スタートを切る。卓球五輪代表の福原愛(23=ANA)と石川佳純(19=全農)が17日、スペインとチリで行われるワールドツアーに向けて成田空港を出発した。世界選手権後、最初の海外遠征。石川は「五輪に向けて新しいスタート。1戦1戦大事に戦いたい」と意気込んだ。

 文字通り、過酷な道のりになる。2大会に臨む上で、ロンドンやシドニーなど4つの経由地を経るため、5月2日の帰国までに総移動距離は約4万1700キロに到達。地球1周約4万キロを上回る。福原は「栄養士の先生に『スペインは海鮮料理がおいしいけど、おなかを壊しやすいので、試合が終わるまでは我慢して』と言われている」と節制を覚悟。昨年8月にも1カ月間で約4万キロの移動を経験している石川は「ケガと病気だけには気をつけて戦いたい」と、体調管理へ入念に注意する。

 18日に五輪開幕まであと100日を迎える。「ここからは一瞬」と言う福原は、世界選手権で敗れた石賀浄(韓国)の写真をA4判に引き伸ばして練習場に貼り、打ち込んできた。「今まで五輪で当たりそうな選手を貼っていて、今回もお願いして貼りました。疲れているときに見ると、悔しい気持ちを思い出せる」。福原と都内でミニ合宿を行った石川も「毎日を苦しく過ごすより、成長できる過ごし方をしたい」。地球1周を超える試練の旅から、五輪で勝つための道は開かれる。【今村健人】