<フィギュアスケート:世界国別対抗戦>◇最終日◇21日◇東京・代々木第1体育館

 日本が初優勝を飾った。最終種目の女子フリーで、世界選手権銅メダルの鈴木明子(27=邦和スポーツランド)が120・28点をマークし、自己ベストを更新する総合187・79点で逆転優勝。米国を振り切った。14年ソチ五輪で採用される団体戦へ、自信と経験をつかんだ大会となった。村上佳菜子(17)は総合159・62点の6位。ペアで世界選手権銅メダルの高橋成美(20)マービン・トラン(21)組はジャンプのミスもあり、総合177・56点の3位だった。

 紙吹雪が舞う中、優勝を決めた鈴木は笑っていた。ここぞの場面で昨年11月NHK杯の自己ベストを約2点更新する演技を決めた。

 鈴木

 本当にうれしい。みんなで1番になると強く望んでいた。自分は決していい出来ではないので正直ビックリしますが、優勝に貢献できてうれしい。

 フリーの最後のフィニッシュポーズでは、反らせた体をもっと反らせて悔しがった。「も~」。思わず表情がゆがんだ。ジャンプに細かなミスが続き、「今季最後に今季初のノーミスの演技」はできなかった。だが、それでも総合で自己ベストを上回った。

 今季は出場大会で1度も表彰台を外さなかった。浅田が不調、安藤は休養という状況で、日本女子スケート界を引っ張ってきた。安定した高得点の源は、演技構成点の高さだ。この日も5要素の平均は約8点。ジャンプのミスをカバーした。

 団体戦向きの安定感。それが鈴木の武器だ。「いつも意識しているのは自分の最低を上げようということなんです」と話す。新たな技に挑戦するより、重視するのは底上げ。調子が悪い時に崩れないことを大事にする。今大会では主将の高橋から「陰の主将」と呼ばれるほど、最年長として後輩に気を配った。応援グッズも自ら購入した。だから個人の悔しさより、団体優勝のうれしさが上回った。

 今回は男女シングルが各2人出場できたが、五輪本番では各1人ずつ。ペアとアイスダンスが得意のカナダなどが強敵になる。さらにペアで高橋と組むトランの国籍がカナダで、現状では五輪に出場できないなど、2年後に課題は残る。

 主将の高橋は「1人じゃないと感じた。心強かった。(ソチでも)プレッシャーを感じずにできるかな」と先をみた。2年後の本番に、この優勝を生かしていく。【阿部健吾】

 ◆14年ソチ五輪でのフィギュア団体

 10カ国・地域が出場し、男子、女子、ペア、アイスダンスの4種目で争う。各種目1位10点、2位9点…と与えられ、合計点で競う。SPの上位5チームがフリーに進む。フリーでは2種目まで選手交代が可能。個人種目に出場する選手から団体にエントリーし、個人の出場枠を獲得できなかった種目は団体要員を立てることができる。