元祖「さむらいジャパン」は俺たちなんです!

 ホッケーのロンドン五輪最終予選が、明日25日に開幕する。23日は男女日本代表の監督と主将らによる会見が、試合会場の岐阜県グリーンスタジアム(岐阜・各務原)で行われた。男子の五輪出場は68年メキシコ大会が最後。球技種目最長ブランクが空く間に、08年に名付けられた愛称「さむらいジャパン」は後発であるプロ野球日本代表のもののようになった。地元で44年ぶりの五輪を決め、存在感を見せつける。

 「元祖」の意地で固い扉をこじ開ける。決戦の舞台でDF川上主将の鼻息は荒かった。「男子はずっと悔しい思いをしてきた。どこかで歴史を変える時が来ると思っているし、それが私たちだと信じています」。かつて32年ロサンゼルス大会で銀メダルを奪った男子ホッケーも、68年メキシコ大会以降は五輪が遠い。球技最長44年ものブランクを埋める時がやってきた。

 危機感いっぱいだ。08年3月、北京五輪最終予選を前に「さむらいジャパン」と名付けられた。商標登録も提出。女子の「さくらジャパン」のように浸透する…はずが、8カ月後には「サムライジャパン」が生まれた。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でプロ野球日本代表は、翌09年に2連覇を達成。街中で「サムライ」や「侍」の文字が躍った。一方でホッケーは最終予選で敗退。最年長33歳のMF小沢は「スティックの方が刀に近いと思うんですが、頑張らないと」と苦笑する。

 「鉄人流」に活路を見いだした。昨春、強豪韓国から姜建旭(カン・ゴンウク)監督を招いた。欧州勢ともパワーで戦う指揮官の母国を参考に肉体改造に着手。阪神金本らが通う広島のトレーニングクラブ「アスリート」の平岡洋二代表に指導を受けるようになった。スクワットやベンチプレスで鋼の体へ成長。川上主将は「5キロほど増えた選手が多い。当たり負けしないし、疲れにくくなった」と胸を張る。

 当初同組だった世界ランク5位のスペインが繰り上げで五輪を決め、格上は同12位の南アフリカだけになった。同国とは昨年11月に2-3。勝てない相手ではない。姜監督は「非常にラッキー」と口元が緩む。この日のオーストリアとの練習試合は3-0で快勝。地元での歓喜を信じ、「さむらいジャパン」が五輪切符を狙う。【近間康隆】

 ◆ホッケーのロンドン五輪への道

 男女とも五輪は12カ国で実施。既に各大陸王者や日本開催以外の最終予選の勝者11カ国が出場を決めている。日本が五輪に出るためには今回の最終予選で優勝するしかない。最終予選は6カ国総当たりで1次リーグを行い、上位2カ国が決勝で対戦する。