<体操:NHK杯兼ロンドン五輪代表最終選考会>◇初日◇男女個人総合予選◇4日◇東京・代々木第1体育館

 男子は18歳の大学生コンビが躍進。加藤凌平が床運動で15・250点でトップ。全日本の初日と合わせて床運動で2度の首位を取り、代表選考最優先条件をただ1人クリア、野々村笙吾は個人総合で2位につけた。

 男子も、女子に負けていないぞ!

 18歳の順大1年コンビが躍進した。まずは元日本代表でコナミの裕之監督を父に持つ加藤が、得意の床運動で1位を獲得。今日5日も1位になれば「特化種目」の選考条件で、昨年世界代表の沖口を抑えて五輪切符を手にする。「風邪が悪化して体がフワフワし、何をやっているのか分からなかった。練習で染み込んだ体が勝手に動いてくれたんだと思う」とホッとした表情を浮かべた。

 寮で流行した風邪にかかり、4月30日から熱が出た。体が疲れ、セキも出るピンチだったが、父にこの日朝「代表に本当に必要な存在なら、自然と入れる」と言われて「入れなかったら実力だ」と開き直れた。先に終えた沖口の演技は見ず、得点も知らずに臨んだ床運動で、父が指導するライバルを0・050点上回った。「まだ明日があるので気は抜けない」。青白い表情で、気を引き締めた。

 その寮で1カ月前に風邪にかかった野々村も、個人総合2位に浮上。最終種目の鉄棒で失敗するも、それまではトップだった。五輪代表になるには首位田中和を抜くしかないが、その差は逆転可能な0・650点。「失敗を恐れず、縮こまらずに思い切った演技をしたい」。怖いもの知らずの18歳コンビが、新しい風を吹き込もうとしている。【今村健人】