<体操:NHK杯兼ロンドン五輪代表最終選考会>◇最終日◇男女個人総合決勝◇5日◇東京・代々木第1体育館

 日本体操界の「イケメン新星」がロンドンで一暴れする。18歳の加藤凌平(順大)が「特化種目選出」の床運動でロンドン五輪代表入りを決めた。既に内定している内村航平を除き、1位の15・350点。全日本選手権初日、前日の初日に続く3度目の1位で、1位を2競技会以上獲得という代表基準を満たした。元日本代表でコナミの加藤裕之監督を父に持つホープは「若さでチームを勢いづけたい」と誓った。

 勝負どころは最初にやってきた。1位になれば代表入りが決まる床運動。1組目の試技で、さらに1番手。加藤は「少し力が入った。緊張もしました」と振り返ったが、最後に得意の3回転半ひねりを着地するまでミスなし。後半は風邪の影響で体にだるさも出たが、「1種目目でまとまった演技ができて残り5種目の励みになった」と総合4位にまとめ、代表入りを決めた。

 「夢のようで実感がない」。そう話した五輪出場は親子2代の夢。父裕之さんは88年ソウル五輪の代表選考に落選した。その無念を晴らした孝行息子は、幼少期から体操用具が相棒。ひねり技の成功度を上げたのも、トランポリンからの「着地遊び」を繰り返した成果だ。高2から取り入れた床運動の3回転半ひねりは、大きな武器となった。

 裕之さんは「運ですかね」と自分になく息子にあるものを話す。運もそうだが、父にない長いまつげに、オシャレな髪形の魅力。埼玉栄高では「丸刈り強制」だったが、大学生の今は長髪をバッチリ整え「楽しんでます」と、はにかむ。

 代表会見では答えに窮して「その、なんだろう…」と色白の頬を赤らめる初々しさ。五輪で世界大会初登場になる日本の新たなスペシャリストは、「一番若いので追い上げて先輩にプレッシャーをかけられるような演技を」と勢いにあふれていた。【阿部健吾】

 ◆加藤凌平(かとう・りょうへい)1993年(平5)9月9日、埼玉県草加市生まれ。父裕之さんがコナミの監督のため、小4で本格的に体操を始める。10年全日本種目別の床運動で3位。昨年のNHK杯で8位に入り注目された。今年4月から順大。母も元体操選手、弟も体操選手という体操一家。163センチ、54キロ。