合言葉は「サインでV!」。卓球ロンドン五輪代表の福原愛(23=ANA)と石川佳純(19=全農)が15日、ワールドツアー韓国、中国オープン(OP)に向けて成田空港を出発した。2人は直前まで大阪で行ったダブルス合宿で、通常より5倍以上の種類のサインを設定。五輪団体戦でメダルの鍵を握る女子ダブルスで勝つために、緻密な戦略を練った。まずは韓国OPで、その成果を試す。

 愛と佳純の間に生まれた「秘密」が、日本を強くする。五輪まで2カ月半を切り、女子ダブルエースが秘策を設けた。それは2人だけの「サイン」。ダブルス時の取り決めだが、通常と違うのはその数だ。福原が「覚えられないので、紙に書いた」と言うほどの量を設定。石川は「今まで、そんなに細かく決めたことはない。でも、まだ増えるかも」と不敵に笑った。

 大阪のダブルス合宿で取り決めた。通常のサインはサーブとサーブレシーブの2つで、放つ選手がパートナーに回転を教える程度にすぎない。だが、ほかにも3球目や5球目をどう打つか、ラリーが続いた後の後半をどうするか、といった種類まで設定。相手がカットマンか攻撃型かでさらに分けた。その数は従来の5倍以上にのぼる。福原は「一緒に練習する時間があまりないので、お互いどうするかというサインを決めたかった」と明かした。

 五輪団体メダルの鍵を握るダブルスだが、福原と石川が一緒に練習できる機会は少ない。「慣れ」がないため、パートナーへの理解も限られる。そこで「次に何をやりたいかが分かるように」(福原)取り決めた。覚えるまで時間はかかるが、効果は違う面でも表れた。「いっぱい練習して、前よりもお互いのことが分かった」(石川)と、2人の距離が一気に近づいた。

 「長い髪は悪いモノがつきやすいと聞くので」と、髪の毛を約20センチもバッサリ切って高校以来のショートヘアにした福原は「サインでVですね」。まずは2人が組む予定の韓国OPで、成果を試す。【今村健人】