酒に酔って寝ていた教え子の女子柔道部員に乱暴したとして、準強姦(ごうかん)罪に問われたアテネ、北京両五輪の柔道金メダリスト内柴正人被告(34)の初公判が12日、東京地裁で開かれ、内柴被告は「合意の上で行為に及んだ」と無罪を主張した。一方、検察側は、行為に目を覚ました女性部員が大声で叫ぶと、被告がテレビの音量を上げたり、口をふさいだりしたことなどを指摘。公判の争点となる「合意の有無」について真っ向から対立した。<公判の争点「合意の有無」についての主張>(検察側)

 ベッドに運ばれた女子部員が1度目を覚ますと内柴被告が立っていた。「シャワーを浴びる」というと「そのまま寝なよ」と言われたので再び熟睡した。その後、下半身に違和感があり目を開けると被告が覆いかぶさっていた。「何をしてるんですか」と大声を上げたが、被告はテレビの音量を大きくした上、口をふさぐなどした。(被告側)

 カラオケ店にいる時点で、女子部員が被告に性的行為を行った。ホテルに連れて行きベッドに寝かしつけようとしたが、しがみついて離れなかったので、2人でベッドに倒れ込んだ。そのまま、なだれ込むように性行為に及んだ。部員は決して熟睡などしておらず、会話も交わし、積極的に求められた。合意の上での行為だった。

 ◆準強姦(ごうかん)罪

 女性の心神喪失や抵抗ができないことに乗じ、強姦する罪。睡眠状態、または酒、薬物で昏睡(こんすい)状態にある女性、知的障害や性的知識の乏しい女性をだまして性交する場合などに適用される。脅迫や暴行により相手の抵抗力を奪う強姦罪と罪の重さは同じで、3年以上の有期懲役。