真央、美姫をボディーガードで守れ!

 日本スケート連盟は23日に都内で理事会を開き、尖閣諸島の領有権をめぐる日中関係の緊迫化で派遣中止も懸念されるフィギュアスケートのGPシリーズ第3戦中国杯(11月2~4日、上海)について、出場予定の浅田真央(21)や安藤美姫(24)らを原則、派遣することを決めた。ただし、安全の確約が第一条件で、橋本聖子会長(47)は「ギリギリまで見極めたい。派遣に踏み切ったとしても、ボディーガードをつけられないか相談している」と明かした。

 中国杯には、日本からシングル4選手とペア1組がエントリーしている。仮に派遣を自粛すれば、14年ソチ五輪のプレ大会となるGPファイナル(12月、ロシア・ソチ)出場が絶望となり、強化に大きな支障となる。橋本会長はその重要性に言及し、国際スケート連盟に対して同日付で要望書を提出。中国政府や同協会が日本選手の安全確保に努めるよう働きかけてほしいと訴えた。その上で連盟独自の対策案も打ち出した。

 「仮に安全が確保されたからといっても、連盟としても最低限の防御策は考えないといけない。選手の心が大事。安全を確保するためのボディーガードをつけられないか(文科省が有望競技を支援する)マルチサポートと相談している」。

 過去には10年バンクーバー五輪直前に韓国で行われた4大陸選手権で、同国のインターネットで浅田の演技妨害を予告する書き込みがあったため、主催者が屈強なボディーガードを浅田専属で付けたことがある。今度は日本選手団が安心して競技に専念できるよう、日本側で用意する考えだ。

 中国杯まで1カ月強。橋本会長は「状況も刻一刻と変わっていく可能性が高いし、そうなってもらわないと困る。出場できなくなる状況は避けたい」と、沈静化を願った。

 ◆GPシリーズ中国杯

 スケートアメリカ、スケートカナダに次いで、11月2~4日に上海で行われるGPシリーズ第3戦。2日にショートプログラム、3日にフリー競技が行われ、4日がエキシビション。日本からは男子に高橋大輔と町田樹、女子に浅田真央と安藤美姫、ペアに高橋成美、マービン・トラン組がエントリーしており、町田以外は今季のGP初戦となる。

 ◆スポーツ選手とボディーガード

 海外スター選手の多くはボディーガードが当然のようにつき、サッカー元イングランド代表MFベッカムは家族を含めて常時、警護されている。マンチェスターUのMF香川真司も今年7月の上海遠征時には5人の屈強な男に守られていた。元日本代表MF中田英寿が99年3月に帰国した際は、所属事務所が雇った極真会館の空手選手がガードした。ボクシングの亀田興毅は05年11月から、入場の際に触れようとするファンの防止策として黒人2人を従えた。大相撲の元横綱朝青龍も07年にモンゴルへ帰国療養中の際、ボディーガード2人に警護されていた。