<フィギュアスケート:ジャパン・オープン>◇6日◇さいたまスーパーアリーナ◇男女フリー

 真央がトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を封印する。浅田真央(22=中京大)は今季初戦となる大会でフリー演技に臨み、トリプルアクセルを跳ばずに122・04点の高得点をマークした。今季は大技へのこだわりを捨てて、前半戦はトリプルアクセルを跳ばないことを明言。「向上」をテーマに、これまでとひと味違う新しい「真央」を見せる。大会は日本が、合計569・25点で2年ぶり5度目の優勝を果たした。

 浅田の顔が、自然とほころんだ。最後のステップからの滑りで、温かな手拍子を呼び込んだ。決めのポーズでは総立ちの歓声を浴びた。初披露したバレエ音楽「白鳥の湖」。「お客さんの手拍子が、疲れた中ですごく後押しになりました。落ち着いてやってきたことが出せた」とほほ笑んだ。

 迷いのない滑りで好発進した。冒頭の3回転ループに続いて跳んだのは、2回転半-3回転トーループの連続技。トリプルアクセルはなし。未練も、少しものぞかせなかった。今季を迎えるとき、佐藤コーチとは「完璧に跳べるまでいれない」と決めた。練習量も、例年の半分以下に抑えた。

 これまでコーチに説得されても、どうしても未練が残った。演技直前まで悩む姿があった。だが、失敗しては演技が崩れてきた過去を顧みて、こだわりは捨てた。「今季はどうしようか考えていたけど(昨日の練習で)跳ぶことができたので、シーズン後半には入れていけたらいいな」と、あっさり言えるほどだった。

 細かなジャンプミスがあった。同じ種類のスピンを回り、得点がゼロになる失敗もあった。それでも122・04点は、手応え十分の得点。「これをスタートに2歩でも3歩でもステップアップできるように頑張りたい」。新しい真央が、始まった。【今村健人】