卓球のロンドン五輪女子団体で銀メダルを獲得し、五輪後に右肘を手術した福原愛(23=ANA)が28日、16年リオデジャネイロ五輪を目指すことを初めて宣言した。都内で行われたイベント後に明かした。復帰戦には世界のトップ選手が集う12月6日開幕のワールドツアー・グランドファイナル(中国・杭州)を目標に掲げ、2連覇が懸かる来年1月の全日本選手権(東京)にも出場する。4年後へ、愛ちゃんが動きだす。

 復帰時期を語る表情は、どこかうれしそうだった。リハビリ中に考えて、ようやく定まった覚悟と目標。福原は打ち明けた。「12月のグランドファイナルを復帰戦に考えています。1カ月後なので正直、間に合うか不安もあるけど、目標をつくらないとダラダラしてしまう。目の前の試合を1つ1つ頑張って、その先に(16年五輪の)リオが見えてくればいい」。人生初の手術から65日。4年後への決意を、初めて口にした。

 8月24日に右肘の手術を受けたとき、復帰時期は決めなかった。1月に全日本を制して、五輪で夢だった銀メダルも獲得した。まだ上はある。だが、今まで積み重ねてきた過酷な日々を振り返ると、簡単に「次」を考えられなかった。「もう1度卓球を始めてロンドン五輪以上の結果を出すには、それ以上の練習をしないといけない」。その覚悟があるか、休養中、自分に問い続けてきた。

 「正直まだ、しっかりとはできていないです。でも、やりながらちゃんと向き合えると思う。覚悟を待っていたら、リオが終わっちゃいそうなんで」。この日は都内で80人の小中学生とラリーを行った。前日に手術後初めて打球練習を行い、筋肉痛が残っていた。でも、違和感はそれだけ。「今日卓球をして、やっぱり楽しいなと思えた。楽しいと思える限りは、まだやりたい」と笑顔を見せた。

 復帰戦に定めたグランドファイナルは石川佳純も出場予定の、世界の強豪が集う大会。その分、挑んでいける。「全日本を復帰戦にするより、のびのびできる。(五輪メダルを経て)また違った気持ちで卓球ができるんじゃないかと、期待しています」。愛ちゃんの新しい卓球人生が、幕を開ける。【今村健人】

 ◆福原と右肘のケガ

 競技歴20年の疲労が蓄積した影響で、昨年5月の世界選手権ごろからバックハンドを打つ際に右肘に違和感を覚え始めた。ロンドン五輪は痛み止めの注射を打ちながら臨み、五輪後の8月24日に手術。炎症を起こして痛みの原因だった右肘関節内の「滑膜ひだ」を取り除いた。福原が手術を受けたのは初めてで、滑膜ひだは約3センチに肥大していたという。全治は約2、3カ月と診断された。