<フィギュアスケート:グランプリシリーズ第3戦:中国杯>◇3日◇上海

 男子はSP2位の町田樹(22)が総合236・92点の逆転でGP初優勝を飾り、ファイナル進出一番乗り。高橋大輔(26)は2位だった。

 群雄割拠の日本男子に、また新たな男が名乗りを上げた。GP5戦目の町田が初優勝を遂げ、全選手中最速のファイナル行きを決めた。「火の鳥」の曲に炎をイメージした衣装に身を包んだフリー。4回転こそ転倒したが、終わってみれば表彰台の頂点を射止めた22歳。本来は歓喜のはずが、「テンションが下がっていたときに聞いたので…」と真顔でうつむいた。

 理由は「(3位だった第1戦の)スケートアメリカと同じ失敗をして、コーチに怒られていた」から。なんとも切ない初戴冠になったが、「次に向けて課題の方が大きく、刺激になった」と前向きにとらえた。

 名前の樹(たつき)の由来は「1文字で大きな木を表していて、大きく育つように」という。スケートアメリカでGP初表彰台に上り、日本男子の中で存在の大きさは増す。GP第3戦まで終え、高橋、羽生、小塚、織田にもファイナル出場の可能性がある戦国時代。14年ソチ五輪の枠は3人が濃厚。残り1年3カ月、争いが激しさを増していく。

 ◆町田樹(まちだ・たつき)1990年(平2)3月9日、川崎市生まれ。3歳で競技を始める。08年ジュニア全日本選手権2位。09-10年からシニアに参戦し、10年ネーベルホルン杯で自身初の4回転トーループを成功させて初優勝。全日本選手権は11年に4位。コーチはアンソニー・リュウ氏。ISU公認大会の自己ベストは今大会の236・92点。163センチ、53キロ。