20年東京五輪のハイライトは、新旧の名所を巡るマラソン-。東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会は8日、都庁で前日7日に国際オリンピック委員会(IOC)に提出した立候補ファイル(開催計画書)の内容を公表した。「Discover

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 未来(あした)をつかもう」をスローガンにしたファイルで大会ビジョンや財政計画などとともに明かされたのが会場プラン。国立競技場発着のマラソンは、東京の魅力を詰め込んだコースとなった。開催地決定は9月7日で、マドリード、イスタンブールとの激しい招致合戦がいよいよ本格化する。

 「東京の中心で行われる大会は、かつてないダイナミックな祭典になる」。猪瀬都知事は、東京五輪の魅力を力強く口にした。立候補ファイルに書かれていたのは「先進的で安全な都市での開催」「選手村を中心に半径8キロ以内に85%の競技場が集中するコンパクトな大会」「伝統、文化から現代に至るまでの東京の魅力を体験できる」などの内容。そのすべてを具現化するのが、東京を体験できるマラソンコースだった。

 8万人収容の超近代的スタジアムに変貌を遂げる国立競技場をスタートし、東京ドーム、皇居を巡って南下。東京タワーを横目に今度は北上し、銀座、日本橋を通り東京スカイツリーを見上げながら浅草で折り返す。64年東京五輪前に誕生した東京タワーと昨年完成した東京スカイツリー、過去と現在、そして未来をつなぐコースになった。

 ロンドン五輪が周回コースだったように、国際陸連では観客動員や観戦しやすさから周回コースを推奨している。しかし、東京マラソンで沿道に130万人もの観客を集めるマラソン人気の日本なら、折り返しでも動員力に問題はない。都スポーツ振興局の沢崎招致計画担当課長は「日本陸連とも相談しながら決めました。招致に関しても問題はありません」。魅力的なコースは、逆に招致へのアピールポイントにもなる。

 64年東京五輪のマラソンは、国立競技場をスタートして西に向かった。味スタ前に今も記念碑が残る調布市飛田給が折り返し地点。父親に肩車され、甲州街道沿いでアベベや君原に声援を送った子どもたちも多かった。今回は逆に東に、都心に向かうコース。64年大会以上に多くの子どもが、父親の肩越しに「オリンピック」を体感できる。

 20年五輪の会期は7月24日から8月9日。最終日、日本、いや世界中の目がトップランナーが金メダルを目指して駆ける東京に集まる。