<テニス:全豪オープン>◇第5日◇18日◇オーストラリア、メルボルン・ナショナルテニスセンター◇男子シングルス3回戦

 世界18位の錦織圭(23=日清食品)が日本人選手初の全豪での2年連続16強入りを果たした。同82位のエフゲニー・ドンスコイ(22)に7-6、6-2、6-3の2時間6分でストレート勝ち。今大会3試合で1セットしか失わない強さで、第16シードを守って4回戦進出を決めた。大会女子最年長勝利を記録したクルム伊達公子(42)はダブルスでロンドン五輪銀メダル組を下し3回戦に進んだ。

 風速40メートルの海風が舞う中、この日も錦織は苦もなく勝った。小柄な錦織にとって、強風は余計なパワーを使う。その最悪の環境でも、強さは決してぶれなかった。2年連続での16強入りに「いい意味であまりうれしくない。これが普通になってきている」と頼もしい限りの風格だ。

 相手のドンスコイは、世界82位ながら、2回戦で第23シードを破って勝ち上がってきた22歳。勢いがあり、フォアのストロークは豪快だが、錦織は年下の進撃をしっかりと受け止めた。「自分のレベルをしっかりキープできたのが勝因」。2回戦同様に、ストレートでの快勝だ。

 3試合連続で、第1セットがタイブレーク。1回戦では、そのタイブレークを落とした。最初がもつれるのは、相手の出方をうかがう錦織の癖だが、3試合でセットを失ったのは、その1回だけ。1回戦から9セット連続で奪い「すべて順当」と、表情も明るい。

 この日は、新しい色使いのユニクロのウエアもお目見えだ。通常、錦織は、験を担いで、勝っている間は同じ色のウエアを着る。1、2回戦は、全豪色のターコイズブルーだった。しかし、この日は「暑くなる計算だった」(ユニクロ関係者)と、白に緑と黄色のオーストラリアンカラーのラインが入ったものを着用した。

 この日の勝利で、全豪では2年連続のベスト16入り。4回戦進出が、ひとつの壁といわれる4大大会で、しっかりと勝ち残った。世界のトップ20でも、過去、全豪で連続で4回戦進出の記録を残したのは錦織を含め12人だけ。それでも「以前なら喜んだが、まったく舞い上がっていない」と胸を張る。

 心配されるのは、2週前のブリスベーンで再発した左膝の炎症だ。この日も、第1セット終了後、左足首のテーピングとともに、マッサージを受けた。「たいした心配はない」と、言葉を濁したが、3試合で負荷がかかっていることも考えられる。「とにかく目先の1戦だけを考えてきた」。次もベスト8入りをかけ、4回戦にまずは全力注入だ。【吉松忠弘】

 ◆錦織圭の4回戦

 世界5位のフェレール(スペイン)が相手。昨年、ツアー7大会で優勝し、年間最多勝に輝いた。先週の前哨戦オークランドでも優勝している強豪だ。しかし、対戦成績は錦織が2勝1敗とリード。初対戦の08年全米3回戦では、フルセットで錦織が勝ち、自身4大大会初の16強入りを果たした。昨年、ロンドン五輪3回戦でも勝っている。

 ◆錦織の世界ランク

 2年連続で16強入りした錦織だが、次の4回戦で敗れれば、今大会終了後の28日に発表される最新世界ランクでは18位から20位ぐらいに落ちることが予想される。世界ランクは、ポイントを獲得した大会から52週間(約1年)しか有効でなく、昨年の全豪ベスト8で獲得した360点は、今大会後に消失する。前年の同大会と同じ成績を残さないと世界ランクは下がる仕組み。強くなればなるほど、前年に獲得したポイントは多く、それを維持するのは並大抵ではない。