「完全復活」へいきなりのフルスロットルだ!

 浅田真央(22=中京大)が7日、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)と連続3回転ジャンプの両方を5年ぶりにフリーに組み込むことを明言した。今日8日に大阪市中央体育館で開幕する4大陸選手権の公式練習で、大技2連発を成功。1年後に迫ったソチ五輪の出場枠取りがかかる3月の世界選手権(カナダ)へ、「いまできる最大のレベルアップ」で弾みをつける。

 突然の「MAX真央」だった。今年初戦の大阪のリンクで、浅田が周囲を驚かせた。曲が流れない中で滑り始めたフリーの「白鳥の湖」。3回転半を着氷したところまでは、年明けから今大会での挑戦を明言しており予想の範囲内。だが、直後に飛んだのは超高難度の3回転フリップ-3回転ループ。昨年末には「連続3回転はまだ時間がかかる」と話していたが…。大技を決める姿に、リンクに自然と拍手が起きた。

 浅田

 今日の構成はいま自分ができる最大のレベルアップ。思い切って大会に臨みたい。

 連続3回転ジャンプを成功させたのは、09年世界選手権が最後。大技2つ成功のフリーとなると、08年の4大陸選手権にまでさかのぼる。今大会は今後の大会への出場権などがかかっておらず、挑戦しやすい環境でもある。「100%の出来ではないですが、試してみたかった」と気持ちがうずいた。

 昨年末の全日本選手権後に、佐藤コーチからは「曲で入れて練習してないと(大技は)本番では跳ばすことはできない」と諭された。この1カ月はショートプログラム(SP)の手直しで2日間カナダに滞在した以外は、日本で調整。“解禁日”を1日でも早めるため、曲をかけて何度も滑った。この日、報道陣から「ゴーサインか?」と聞かれた同コーチは「そういうことです」と話した。

 昨年から、2つのジャンプを入れてこそ「完全復活」と公言してきた。それは5年前当時だけでなく、現在でも世界の誰もできない超ハイレベルな演技構成。ソチ五輪まで残り1年となり、「わずかな試合、期間しかない。毎日やるべきことをやり、1つ1つの試合で自分のできる最高の演技をしたい」と誓った。有言実行はこの試合から-。【阿部健吾】