競泳男子平泳ぎの北島康介(30=日本コカ・コーラ)が、戦闘モードに切り替わった。7月の世界選手権(スペイン・バルセロナ)に向けた日本代表合宿が20日、都内で公開。先週の日本選手権前は世界選手権出場への意欲すら見せなかったが、代表入りを果たしたことで闘争本能にスイッチが入った。11日の日本選手権は100メートルで優勝。派遣標準記録は切れず、代表枠には滑り込んだ形だったが、2月からの急ピッチ仕上げでの復調に手ごたえはつかんだ。「選んでもらったからには高いレベルで勝負できるようにしないと」と話し、50、100、200メートル、400メートルメドレーリレーの4種目出場に意欲をみせた。

 合宿では若手に対し積極的に声を掛ける。きついメニューも「ヨッシャー」と声を出しムードを高める。「メダル数、入賞の数、自己ベストの数を増やしたい」と若手の底上げも自らに課す。日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(50)は「いるだけで全然違う。存在は大きい」と「北島効果」を口にした。

 10年前、同じバルセロナで開かれた世界選手権では100、200メートルともに世界記録で金メダルを獲得。「北島時代」の幕開けとなったゲンのいい場所で、再び世界と戦う。長期休養あけの2月には今年の目標として9月の東京国体を挙げていた。「いきなりハードルが上がった」と苦笑いしながらも、世界のトップたちとの戦いが待ち遠しそうだった。【田口潤】