全日本柔道連盟評議員の了徳寺健二・千葉県連盟会長(64)が11日、上村春樹会長(62)の解任を要求した。同氏は、会長の進退すら議題にならない全柔連の理事会を「思考停止」と批判。25日の評議員会で会長ら執行部に自らの意見をぶつけることを明言した。上村会長は理事会後に「やりきって、次の世代に渡すのが私の使命」と改革に強い意欲を示したが、柔道界の内部から上村体制が崩壊する可能性も出てきた。

 了徳寺氏の言葉は厳しかった。上村会長の責任問題にも触れず改革だけを話し合った理事会を受けて、浦安市の了徳寺で会見。「理事会の解散を1日も早く実現させなければならない。今の理事会はイエスマンと保身主義の人たちの集団」と強い口調で批判した。

 了徳寺氏の言葉通り、この日の理事会も「無風」だった。1人の地方理事から「執行部の一新を」という声は出たが、追従する者はなかった。「柔道界に私が不必要だとなれば、去る」と話した上村会長は「(会長職に)しがみついているとは思わない」とも話したが、了徳寺氏は「それでは済まないことを分かっていない悲しさ。国民、真の柔道家は決して同調することはありません」と話した。

 4月の臨時理事会で立ち上げた改革案も順調とは言い切れない。山下理事の暴力根絶プロジェクトなど進行状況が見えるものもあるが、規約改正など時間のかかるものもあって形は見えてこない。そんな中、内閣府公益認定等委員会からは異例の報告書再提出を求められた。過去ではなく、改革を進める最中での「不祥事」だけに、責任は重い。再提出する報告書は24日の臨時理事会で承認されるが、ここでも執行部の責任を問う声は出そうにない。

 近く助成金問題に対する第三者委員会の最終答申も出る。再び組織としての責任が問われるが「改革をやり遂げるのが、私の責任」と上村会長。「スパッと一本をとることは、辞任することでは?」という質問にも「戦い抜いてとる一本もある」と同会長は言った。

 了徳寺氏は、25日の評議員会で会長解任を求める声をあげることを明かした。「私1人ではなく、幾人かのハーモニーで改革に向けた動きを起こさなくては」と話し、関東7県の評議員も同様の意見であることを口にした。評議員会での理事解任は、59人いる評議員の3分の2の賛成で成立。了徳寺氏の声に続く者が出れば、柔道界は新時代に向けて大きく動く。

 ◆理事会の主な決定事項

 (1)常務理事会の新設(2)外部有識者の常務理事への登用(3)女性理事の登用(4)セクハラ行為を認めた福田二朗理事の永久資格停止(5)暴力根絶プロジェクトの決定事項の承認