<テニス:ウィンブルドン選手権>◇第2日◇25日◇ロンドン・オールイングランド・クラブ

 世界84位のクルム伊達公子(42=エステティックTBC)が快勝発進だ。予選勝者で同193位のカリナ・ビットヘフト(18)に、わずか44分の6-0、6-2でストレート勝ち。2年ぶりの勝利で、自身が持つ大会女子2番目の年長勝利記録を更新した。

 鮮やかな緑の芝で、2年ぶりにキミコ・スマイルがはじけた。予選勝者の格下に、まったくテニスをさせない圧勝で「すべてが、自分へのいい方向に動いた」と絶好調宣言。相手は、クルム伊達の勢いに萎縮し、ミスを連発し、まったくテニスにならなかった。

 スタートから一気に飛ばした。18歳のドイツの新星の気勢をそぐように、最初からエンジン全開だ。年齢24歳差。二回りも違う相手を手玉に取った。第1セットはわずか16分で完封。スタートから8ゲームを連取し「集中を切らさずにできた」と、圧倒した。

 昨年はケガの連続だった。両足のふくらはぎを痛め、まったく勝てない時期が続いた。5月から10月にかけて11連敗を喫し、念願だったロンドン五輪出場も逃した。もちろん、ウィンブルドンも初戦敗退。しかし、今年は腰に痛みはあるものの、大きなケガがないのが勝ち星につながっている。

 前日の寒さとは打って変わって、この日は穏やかな晴天だったことも幸いした。「今日は暖かくて(腰にはいい)」。加えて、「初戦もシードじゃないラッキー」と、ドロー運も味方した。体の状態がいいことで、すべてがクルム伊達に味方した1回戦だった。

 42歳9カ月の勝利に、海外メディアも興味津々だ。10人を超える海外の報道陣がメーンの会見場に陣取り、「どうやって体を鍛えているのか」、「なぜ続けているのか」と矢継ぎ早に質問を浴びせた。その度に、スマイル全開で英語で答えた。

 「健康のためには緑茶(日本茶)を飲んでいるのか?」という質問には、「中国茶よ」と、自らポットを出して披露する大サービスだ。「体をケアして、いい状態が保てている」。この日のすべては、日本が誇るアラフォーの星のためにあった。【吉松忠弘】

 ◆女子年長勝利メモ

 68年オープン化(プロ解禁)以来、4大大会最年長勝利は、04年ウィンブルドンでナブラチロワが記録した47歳。クルム伊達は、11年ウィンブルドンで40歳277日と大会2番目の年長勝利記録をマーク。この日、自分の記録を更新した。4大大会で2番目に年長勝利記録は、80年全米で、元男性のリチャーズがマークした46歳。