暴力根絶は学力アップから-。全日本柔道連盟「暴力の根絶プロジェクト」の山下泰裕リーダー(56)が21日、高校柔道指導者500人に文武両道を訴えた。福岡で金鷲旗大会の監督会議に参加した山下氏は「学生の大会に出場するためには、一定の単位取得が必要になる」と説明した。

 全国から集まった男女計500校の監督たちは騒然となったが、実は6月の全日本学生柔道連盟理事会で決まっていた。「16年から1年終了時点で20、2年で40、3年で70単位を取得していない選手には、学柔連主催大会の出場権を与えない」という厳しいもの。

 学柔連の理事でもある山下氏は「柔道で頑張った人に、社会人としても活躍してほしい。だから、勉学は重要」と説明した。体育学部長を務める東海大でも提案したが、猛反発にあって断念している。「柔道は他のスポーツに先駆け、文武両道を目標に掲げる」と話した。

 学柔連の佐藤宣践会長らが3年前から温めていたもので、一連の暴力事件とは直接関係はない。ただ、暴力指導の一因が言葉による指導力の欠如にあることから「いい指導者になるためには、勉強も大切」と山下氏。「武だけになりがちな大学スポーツ界で、文の重要性を広めたい」と、厳しい表情で話していた。

 ◆単位

 決められた授業を履修することによって与えられるもの。高校は主として学年制をとるが、大学は単位を卒業要件とする単位制がほとんど。4年制大学の場合最低必要単位数は124だが、学校や学部によって差がある。