世界で最も厳しいとされる日本の女子シングルの五輪出場枠を巡る戦いが始まる。切符は3枚。12月21日に開幕する全日本選手権が選考会になる。

 いまその先頭を走るのは、浅田真央だ。ジャパンオープンで披露したフリーのジャンプ構成は、3月の世界選手権と同じ。銅メダルを獲得し、自己ベストを6年ぶりに更新した出来だった。そのレベルを維持したまま今季初戦に入れた。長期のオフを取らずにシーズンに入っており、「早仕上げ」の成果を見せつけた形だ。

 追うのは村上佳菜子、鈴木明子、そして女児を出産した安藤美姫の3人だろう。村上は今季使用予定だった靴が破損し、急きょ代替品を用意したばかり。2季前にも「家が靴屋さんみたい」と嘆くほど苦しんでおり、問題の再燃は避けたい。鈴木は6月の米国遠征中に右足の腱(けん)を痛め、調整具合が気になる。

 安藤は先月末のネーベルホルン杯で3季ぶりの復帰戦を戦い、出産の影響を感じさせない演技を見せた。ただし、約4分間のフリーを滑るための体力不足は課題で、どこまで復調できるか。全日本選手権では「(五輪出場には)1位じゃないと厳しい」と本人も話すように、その道が険しいことに変わりはない。【阿部健吾】