<男子テニス:上海ロレックスマスターズ>◇第3日◇8日◇上海・森林テニスセンター

 世界の「エア・ケイ」が、再びトップ10への挑戦に向けて好スタートを切った。将来、世界を背負うと期待される若手2人の対戦は、世界18位の錦織圭(23=日清食品)が、同28位のディミトロフ(22)に6-3、6-4の81分でストレート勝ちだ。

 ともに未来のスター候補生。初対戦となった負けられない一戦を、錦織がストレートで片付けた。「気持ちも高ぶりすぎず、集中力を保って、いいプレーができた」。1度も自分のサービスゲームを落とすことなく、最後は相手のフォアがアウト。右手を高らかに突き上げた。

 大事な試合だった。先週の楽天ジャパンオープンで、持病の腰痛が再発。準々決勝で敗れた。この日までの4日間、練習時間を少なめにし、治療に時間を費やした。その中での快勝に「気持ち的にも、この勝利は自信になる」と、珍しく観客席にリストバンドを投げ入れ、喜びを爆発させた。

 腰痛は完治していない。しかし、この日は、最も影響が出るサーブが好調。先週、最後は時速170キロ台にまで落ちた第1サーブが、この日は191キロを記録するなど「試合中は大丈夫だった」と、少なくとも初戦はクリアした。

 今大会を入れて、今年は3大会を残すだけ。そのうち、最も格が高いマスターズ大会が、この上海大会と28日開幕のパリ大会。昨年はともに1勝しかしていないため、今年勝ち上がれば、18位に落ちた世界ランクも再浮上する。大きなきっかけを、この日つかんだ。【吉松忠弘】