ソチ五輪出場を決めた女子アイスホッケーの足元が分裂した。日本連盟は9月の評議員会で選ばれた理事18人のうち8人が20日、都内で理事会として集まり、弁護士の塗師(ぬし)純子氏(46)を会長代行に選んだ。一方で前会長とされた奥住恒二氏(71)は引き続き会長の立場を訴え、旧執行部の有効性を強調した。

 両者の考えは平行線で溝は深く、連盟内に2つの執行部ができたことになる。塗師会長代行は「五輪が決まった女子は大事な時期。早く悲しい事態を乗り越え、前に進めなければならない」と話す。だが、奥住氏は「理事会として認められるかは疑問。会長は自分。法廷で決着をつけるしかないかもしれない」と自らの正当性を主張した。

 発端は7月下旬、常務理事で強化本部長だった坂井寿如氏(49)が突如解任されたことだった。一部の理事と評議員は反発。先月28日の評議員会では当初候補でなかった坂井氏らを理事に推薦し、当選させた。旧執行部は反発し、坂井氏ら5人の当選無効を決定。旧執行部が推した会長候補の元駐ブルガリア大使の竹田恒治氏(69)は混乱を理由に就任を辞退した。

 役員改選の混乱から約1カ月。女子を含めた現場にも支障が出ている。この日、常務理事に選ばれた坂井氏は「現場のためにも、早くすっきりした形にしたい」と正常化を訴えた。だが、この日の会合が理事会として認められるかどうかも不透明。来月7日には女子の5カ国対抗戦(新横浜)が迫る。