<フィギュアスケート:GPシリーズ第1戦スケートアメリカ>◇20日◇米デトロイト

 満点の翌日は0点…。19日の男子フリーで自己ベストを更新し、世界歴代5位となる総合265・38点でGP2勝目を挙げた町田樹(23=関大)がもの悲しそうだった。一夜明けたこの日、エキシビションに出演。自ら振り付け、東野圭吾著の「白夜行」をテーマにした演目を世界で初めてお披露目したが、ジャンプなどにミスして「0点でした…」。殺人の被害者、加害者の子供がたどる数奇な運命を描いたベストセラーを体現するため、右手を赤く染めて踊った「振付師デビュー」は散々に。前日の優勝のうれしさも吹き飛んだ。

 「不思議ともう次に向かっている」。圧勝で3枠を巡るソチ日本男子代表争いの中心に足を踏み入れたが、あまり寝られない夜を越してみると、歓喜を良い意味で引きずっていなかった。「コンスタントに250点以上をだせないと。それで一皮むけたと言える」と、次戦ロシア杯(11月)に気持ちは切り替わっているよう。それがエキシビションで推し進められた。「命をかけてやるしかない。僕には1日1日、一瞬一瞬が勝負」。結果におぼれずに、五輪の舞台を目指す。