<フィギュアスケート:グランプリ(GP)ファイナル>◇エキシビション◇8日◇マリンメッセ福岡

 みどり流の「無心ジャンプ」で、次は決める-。2連覇で大会最多4勝目を挙げた浅田真央(23=中京大)は大トリに登場し、サンタ帽子姿も見せるなど観客を魅了。「何も考えずに跳ぶことが、なかなか難しいんです」と前日のフリーを振り返った。

 考えないこと。それを説いたのは92年アルベールビル五輪銀メダルの伊藤みどりさん。同じ山田コーチに師事した縁で、幼少期から交遊がある。前日に会場で今年2度目の対面をし、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2度入れる構成を3年ぶりに復活させたフリーに助言をもらった。

 現役時代に同じ構成で滑っており、体力、精神面での消耗の激しさを知る。そこで痛感したのは超高難度だからこそ、考えることをやめて跳ぶ重要性。浅田は「真央も何も考えずにいきます」と先駆者に誓ったという。まだ「緊張すると考えてしまう」ことがあるが、今後は「無心」が1つのテーマになる。

 前日は1本目が転倒、2本目が両足着氷。成功を誓う次の場は全日本選手権(21~23日、さいたまスーパーアリーナ)になる。ソチ五輪最終選考会だが、今大会の優勝で他選手を大きくリードする。「そこまで(五輪を)意識しないで、課題をクリアすることを目指したい。今年のラストチャンスなので」。13年の締めくくりに、偉大な先輩からの金言を生かす。【阿部健吾】