<W杯スキー:女子ジャンプ>◇個人第7戦◇12日◇札幌市宮の森(HS100メートル、K点90メートル)

 2月のソチ五輪で金メダル候補の高梨沙羅(17=クラレ)が「キング・オブ・スキー」を超えた。1回目97メートル、2回目も91メートルを飛び2回合計237・1点で地元札幌で2連勝。W杯連続表彰台記録を13回とし、12回で並んでいた複合でW杯個人総合3連覇した荻原健司(現北野建設スキー部長)を抜き、日本最多となった。今日13日に46回目の誕生日を迎える父寛也さんへ、大記録をプレゼントした。

 2日連続で大記録を打ち立てた。11日に女子単独14勝を達成した高梨が、今度は連続表彰台記録を日本最多の13回に更新した。昨季も荻原に並びながら12回でストップしており、2年越しの記録達成となった。前日は「特に何もない」と自分のジャンプに集中していたが、この日も淡々としたもの。偉大な先輩を超え、再び歴史の1ページにその名を刻んだ。

 1回目は最長不倒となる97メートルを飛んだが、足を前後にして着地するテレマークを入れなかった。雪が激しく降り、着地点には軟らかい雪が積もり足をとられ転倒しかねないため、安全策をとった。ゲートを下げた2回目は、91メートルでしっかり着地。この回2位だったが、1回目の貯金で逃げ切った。これで今季7戦して6勝と圧倒的な存在感を放っている。

 今日13日は幼少の頃からジャンプを指導してくれた父寛也さんの誕生日。勝利のプレゼントを届けた。「悪天候でランディングバーンの状態は良くなかった。転倒している人もいて、ここで転倒するのは嫌だと思い安全に降りた」と歴戦の中で経験を積み、危険回避能力も身につけた。

 11日のW杯男子で史上最年長優勝を果たした41歳の葛西紀明の活躍も刺激にした。勝利の瞬間は見ていなかったとはいえ、一報を聞き「自分も頑張らないと」と発奮した。40歳代までの現役続行を尋ねられると「体が持てば…。でも、想像できないですね」と笑顔。二十数年、世界のトップに君臨する「レジェンド」への敬意も忘れなかった。

 次戦は舞台を山形・蔵王(18日開幕)に移し、行われる。昨季2連勝した相性のいいジャンプ台だ。「テレマークを入れてしっかり勝ちたいなと思う」。17歳は足元を見失わず、大舞台へしっかりと歩いていく。【松末守司】

 ◆スキーW杯の日本人選手の連続表彰台

 最多は高梨の13回連続表彰台で、12回で並んでいた複合の荻原健を抜いてトップ。続いてジャンプで98年長野五輪金メダルの船木和喜(フィット)の7回、モーグルの上村愛子(北野建設)の5回。世界最多はアルペンのインゲマル・ステンマルク(スウェーデン)の41回。