<テニス:ソニー・オープン>◇26日(日本時間27日)◇米フロリダ州マイアミ◇男子シングルス準々決勝

 【マイアミ(米フロリダ州)=吉松忠弘】連続金星の快挙だ。世界ランキング21位の錦織圭(24=日清食品)が、同5位ロジャー・フェデラー(32=スイス)を3-6、7-5、6-4の逆転で下し4強に進出した。4大大会歴代最多17度の優勝を誇るレジェンドに昨年5月のマドリードオープンに続く連勝。同4位フェレール(スペイン)に勝った4回戦に続いて1大会2人のトップ5撃破は日本男子初だ。28日(日本時間29日)の準決勝では同2位ジョコビッチ(セルビア)と対戦する。

 火花を散らした合計196ポイント。2時間8分の激戦は、日本が世界に誇る「怪物」が、わずか2ポイント差で世界のレジェンドを退けた。「ちょっとの差だった。率直にうれしい」。3度目のマッチポイント。錦織のバックが、相手のコートに突き刺さった。

 堂々の勝利だ。昨年5月の金星はフェデラーが苦手な土のコート。加えて絶不調の状態を錦織が突いた。しかし、この日はともに得意のハードコート。しかもフェデラーは今年、準決勝前に負けたことがない。好調同士の対決で「自信はあった。チャンスが来ると思った」と返り討ちにした。

 第1セットこそ、相手の速い攻撃に「どうしたらいいか分からなかった」。しかし、第2セットに入り、相手のサーブを2度破ることでリズムをつかむ。リターンで攻めることで、あのフェデラーのサーブが壊れた。「(立ちはだかる)大きな壁が、徐々に小さくなっていった」。

 最終セットは豪打で圧倒した。「新たな自信がわいてきた。負ける気がしなかった」。フォアの殴り合いのようなクロスのラリー戦で打ち勝った。豪打のリターンでは、フェデラーを空振りさせた。1度もサーブを落とすことなく、第10ゲームで締めくくった。

 実は、数日前にフェデラーからの指名で2時間の練習をともにした。練習試合もし、お互いに手の内を探った。この数年、フェデラーとの練習は増えている。父清志さんが言うには「圭を意識している証拠」。伝説を乗り越えることで、その恩を返した。

 4回戦で勝った4位のフェレールに続き、日本男子史上初めて1大会で2人のトップ5を破った。「しっかり戦えている。気を休めずに、次も頑張りたい」。次戦も、1度、破ったことがある同2位のジョコビッチが相手。再び金星の予感がする大一番が幕を開ける。

 ◆フェデラーからの連勝

 現在のトップ20の選手で、フェデラーに連勝したことがあるのはナダル(スペイン)、ジョコビッチら6人。4位のフェレールに至っては14戦全敗。トップ20でフェデラーに勝ち越しているのはナダルとマリー(英国)の2人だけ。