<卓球:JA全農世界選手権団体戦>◇第3日◇4月30日◇東京・代々木第1体育館◇男女1次リーグ

 福原愛の代替出場となった世界38位の石垣優香(24=日本生命)が、3戦全勝で日本を1次リーグB組1位通過に導いた。女子団体世界3位の日本は、全勝同士の対決となった同7位の台湾に、石垣が先勝。石川佳純(21=全農)と平野早矢香(29=ミキハウス)も勝ち3-0で快勝し、通算4勝で、今日1日のオーストラリア戦に敗れてもB組1位が決まった。

 最大の見せ場で、石垣が自分の役割を完璧に演じた。世界48位で、世界選手権14大会連続出場のベテラン、黄怡樺につけいるスキを与えず。「一番重要な試合だった。緊張したが、最高のプレーができた」とストレート勝ちだ。

 この日のために、福原の代わりに選ばれた。台湾選手は、石垣の戦型であるカットマンを苦手とする。台湾撃破が1次リーグ1位通過への関門で、そのキーマンが石垣だった。「プレッシャーもあったが、この舞台に出させてもらって感謝です」。前日には、福原からメールで激励された。

 昨晩、今朝ともに黄のプレーをビデオで見て、対策を練った。出した答えは「カットで守ってばかりでは勝てない。攻めも入れよう」。その言葉どおり、カットから好機があれば、攻撃も交えた。その作戦が当たり「相手は驚いたかもしれない」とにんまりだ。

 前回の12年ドルトムント大会にも代表で出場した。しかし、格下のフランス戦に出場しただけで「お情けで出してもらったようなもの」。今大会は2戦目の米国戦から3戦すべて1番手で起用され、ただ1人、すべてストレート勝ち。前回の悔しさを晴らした。

 村上恭和監督も「石垣が入ったのが大きい。期待通りだ」と絶賛。B組1位が確定し、2日からの決勝トーナメントで、通算18回の優勝を誇る中国とは、決勝まで対戦しないことが決まった。「(ここまでは)100点」(村上監督)。当初は代表落ちした日本女子6番目の石垣が、最高の役目を果たした。【吉松忠弘】

 ◆石垣優香(いしがき・ゆか)1989年(平元)7月22日、名古屋市生まれ。10歳で卓球を始め、04年全国中学生シングルス優勝。秀光中等教育学校から淑徳大に進学し、11年ユニバーシアード大会で銀メダル。09、11年世界選手権個人戦代表。趣味はイラストを描くこと。160センチ、55キロ。

 ◆カットマン

 バックスピンをかける打ち方を多用する選手のこと。ラケットでボールを切るように打つことでバックスピンをかける。基本的にはスマッシュを打たず、根気強くラリーを続けるが、近年は相手のミスに乗じて攻撃を仕掛けるカットマンもいる。